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0598 それは夢……
寝床に着いた後
僕は目を閉じて
君の名を呼んだ
三度
魔法の呪文だったかのように
不意に君の面影が
現れた
どこから―誰も知らない
君は問いかけた
僕の心に
僕は―答えなかった
君の問いには答えなど
ありはしないのだから
君は僕に尋ねた……
その内容は口にすまい
だけれど
已に君は時の外にいる
僕は大河に押されて
少しずつ君のもとを去っていく
僕の無言の答えは
君を虚空に消した
この経験は
夢として片づけられるのだろう
08-1.1-2.22
あなたに会えたのだとしてら、それは現ではないのです




