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0004 夜の雨 二題
振りやまぬ雨
涙雨
誰かが流した
みなが流した
心の傷あとに
とても優しく
とても暖かく
けれどとても
力強く
嘆きの心
夜の闇の中に
ほうり捨ててしまって
後に残るのは
切れ目ない雨音
そして湿った
夜の風
16-6.29-7.7
※※※
風のなる音が
閉めきった窓を通して
響いてきます
雨の叩きつける音が
部屋の中に
響いています
そしてそれだけなのです
鳥の声も聞こえない
他に動くものもない
夜の闇の中で
あとは時計の
時を刻む音
それだけなのです
私に親しく
語りかけてくれるのは
窓の外には
何もありはしない
月も星も太陽も
それでも私は
存在していた
夜のこの一時だけが
真に私の時間
他の何物にも
煩わされない
それゆえ働きかけて
来るものもない
この一時
そしてもしあなたが
いてくれなかったら
私はどうして生きていけばよい?
あなたが私のもとに
いてくれなかったら?
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