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0155 失われゆくもの
一つの"時"が過ぎ去る
今、まさに行き過ぎつつある
そうなってはじめて
失いそうになってはじめて
その大切さに気付くもの
他の物ならともかく
"時"だけは、けして
取り戻すことができない
行かせてしまうだけ、しまうだけ
もう少し早く気づいていたら
今はもう無き"若さ"に
失われてしまった"無心"に
手に入れられぬ心、幼き日々の
ああもっと早く気づいていたら
道は変わっていたもしれないのに
なぜ、行わなかったか
後になって悲しみが残らぬよう
いや、その時はそれで必死だった
ただ日々をやり過ごすということに
全ての生命をかけていた
03-2.1-4.29




