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1220 夢の精
月の明るい静かな日
小さな夜の訪問者
窓のガラスをたたく音
かすかに響く コンコンコン
部屋の主は気付かない
彼女はさらにノックする
"風が出てきて木の枝が
窓にぶつかったのかしら"
部屋の主は一人言
ノックの音ははかなくて
時計の時をきざむ音
ペンの紙上を走る音
こずえを抜ける風の音に
消されてしまい届かない
主の耳にその胸に
夜の闇から訪れた
彼女は主の夢の精
往々にして人々は
自らの夢前にして
それと気付かず過ぎるもの
扉開かぬ家の窓
そっと彼女は飛び立ちぬ
17-9.14-10.5
チャンスのようなもの。それが訪れているのに気が付かないものはとても多い。
そして、なぜかこれも75調。




