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1066 忘れてはならぬこと
時は過ぎる
その何でもないことを
時々ひどく
思い知らされる
今日という日は
二度と戻ってこない
そして明日という日も
あっという間に
過ぎ去ってしまう
そしていつの間にか
その恐ろしい事にさえ
慣れっこになって
心が動くことも
少なくなってしまう
きっと今日と同じ明日が
この後にずっと
続いているのだと
思い込んでしまうのだ
あまりに不安定な
未来という時を
しっかりとしたものと
思い込んでしまい
その誤解ゆえに
過ぎた月日の重さを
軽んじてしまう
それはなんと悲しい
そしてなんと哀れな
事なのだろうか
そうしていつの日にか
ただ過去のみが
与えられるようになって
人は一体何を
心に想うのだろうか
29-3.25-3.28
明日がある、と思う事が今日を軽んずることにつながる。
これで29番もおしまい。




