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1043 昔々は
昔もっと僕の背が
小さかったころ
この草花や木々は
今よりずっと大きかった
視界を遮って
僕はほんの僕の周りしか
見渡すことができなかった
この草原だってそのころは
僕にとっては果てしなかった
今はこんなにも
小さく見えるのに
そして僕は僕だけの
小さな世界を守るのに
懸命だったのだ
僕の世界を
犯しに来るものは
誰だって許しはしなかった
日が落ち空の赤みが
消え去ってしまうまで
僕はただ自分の周りだけを
見ていればよかったのだ
そう、ずっとずっと昔は
12-9.26-10.3
成長すると、より遠くが見えるようになる。
より多くの事に気を配らなければいけなくなる。
昔はとてもシンプルだったことが、それほどに複雑になる。身動きもできないほどに。




