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1034 月の光
冷たい月の光の恵み
夜の静けさの内に
響き渡る、響き渡る
星のかすかな輝きなど
全て打ち消すほどの
青白い光、狂気の光
ああ、それに惹かれるのは
罪なのだろうか
その中には何もない
得るものも、失うものも
時の流れも、夢さえも
ただ澄み切った刃物のごとく
わずかに触れただけで
人をみな傷つけるような
そんな狂気だけが
満ち満ちている
体をその内にさらし
想いを全てそれに委ね
かく時と夢と心と
みな預けてしまおう
狂気の名を持つ
月の女神に
30-5.24-7.14
月光だとベートーベン。月の光だとドビュッシー。実際にはドイツ語とフランス語。
果たして訳は言語の違いを意識しているか。
月の狂気に身を任せてしまおう、というお話。




