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1007 十分
夢ならば覚めないでおくれ
僕は満足しているのだから
この時の止まったような生活に
誰も追い立てるもののない
この僕の世界に
全てが僕の思いのままに
なっているわけではなく
何もかもが僕の手に
入っているわけではないけれど
少なくとも君の心と
君の存在がみな
僕のもとにあるのだから
愛しい人よ、君の名を
その言葉で呼べることは
僕にとって一体どれほどの
喜びであるだろうか
愛しい人よ、君の瞳を見つめ
君の手を取り、口づけできることが
僕にとってどれほどの
喜びであるだろうか
もう十分だ
僕は恐れなくそういう事ができる
満足して答えられる
30-5.24-6.14
これは、夢の様な現実、の話。




