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 0歳。

 この世に生まれおち、声をあげて泣いた。私を抱きしめて愛おしそうに笑ってくれた母のそばに父はいなかった。


 3歳。

 あまり会ったことがなかった父が、母に怒られて来てくれた。泣きながら「今までごめん」と言われた理由はわからなかった。


 5歳。

 自分に婚約者がいることを知った。王子だと言われた。私は公爵家の娘だとも。よくわからなくて「そっかあ」と答えた私の頭を父は大変嬉しそうに撫でてくれた。


 8歳。

 母が病気になってしまった。ついこの前までとっても元気だったのに。兄も父も使用人もみんな心配している。私はこの日から毎日、綺麗な花を摘んでは母に届けるようになった。一人でいる時間が増えて、少しだけ淋しい。


 10歳。

 兄が父について王都に行ってしまう日。服の裾を掴んで止めると、兄は私の頭を優しく撫でた。父が私と母と離れるのが悲しいと言って私より泣き始めたので兄は困ってしまった。


 14歳。

 美人だとよく褒められるようになって嬉しい。未だ病床の母は頻繁に私を抱きしめては「母も父も兄もあなたを愛している」と言うようになった。言われなくても伝わっているのに。


 15歳。

 大好きな母が亡くなった。私に衝撃的な事実を伝えて。


 その半年後、母にもらった一冊の本を携え、私は王立貴族学園に入学する。

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