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セルティさんの赤面 ドキドキ温泉回【後編】

注意:主人公は男(男の娘)です。

久々のお湯はすごく気持ちがいい。

今ボクはエドワルドさんと一緒に温泉に浸かっている。

温泉は石造りで、西洋の温泉はきっとこんな感じなのだろう。


「いやぁ~さっきはすみません。ちょっと取り乱しちゃって…あはは」


「こちらこそすまなかった。紛らわしい言い方だったな。」


ボクとエドさんは先ほどまで、ちょっと騒いでいたのだけれど。

ボクの勘違いだったらしく、今はお互いに落ち着いて温泉を堪能している。


「君の身体には傷が全くないし、冒険者というにはいささか頼りない体つきだ。」

(というか…やはり女性なのでは…。)


エドさんが驚いていたのは、どうやらそのことだったみたいだ。

今のご時世、身体に全く傷がないのは温室育ちの貴族の坊ちゃんか

女の人くらいなんだとか…。


「君はもしかして…どこかの貴族なのかい?」


どうしたものか。

正直に異世界からやって来ましたなんて言っても…。

ここはあえて、貴族ということにしておこうかな。


「…はい…えっと…戦争に巻き込まれて、家も家族も…。」


「そうだったのか…辛いことを聞いてしまった。すまない。」

(…!そういうことだったのか!今…全てに合点がいった…。)


「き、気にしないでください!大丈夫です!」


ボクはそう言って微笑んだ…つもりだったのだが

うそをつくのは大の苦手なので苦笑いになってしまった。


「…!」

 (なんて辛そうな笑顔なんだ…。

そうか…リュウ君は恐らく、戦争に巻き込まれた貴族の令嬢だ…

そして、今は戦争により各地の治安も非常によくない…

 貴族のお嬢様が一人旅ともなると、かなりの危険を伴う。

それゆえに…自分を男だと偽らざる終えなかった…そういうことか…。)



 エドさんはこのとき、ボクの苦笑いを勘違いしていた。

必死に悲しみを堪えて笑顔を作っていると思ってしまったのだ。


そして、壮大な貴族のお嬢様ストーリーが出来上がってしまったのだが…

このときのボクがそんなこと知るわけがなかった…。


「この町はね…戦争で村や家族を失った者が多く集まってできた町なんだ。」


そう言うとエドさんは、湯気の昇る夜空を見上げた。

この温泉は露天になっていて、今は夜の星がよく見える。


エドさんによると、この町はリサーナさんが作った冒険者ギルドが元になっていて

リサーナさんを慕う人や助けられた人が集まってできたそうだ。


「だからね、この町の人たちは皆とても強い絆で結ばれている。皆家族なんだ。」


そういうとエドさんはとても優しい笑顔でボクに微笑んだ。

まさしく天使の微笑みだ。

こんな笑顔で口説かれたら、女の子はいちころじゃないだろうか。


「君もこの町の冒険者だ。私たちはもう家族も同然だ。なんでも頼ってくれ。」


「ありがとうございます。」


というわけでボクとエドさんは裸の付き合いでだいぶ仲良くなったと思う。

温泉からあがったら、早速お願いしたいこともできた。


「ふぅ~・・・いい湯ですね。」


「ああ、そうだね。」


「「・・・。」」


ボクたちは湯につかりながらしばらく静かになった。

温泉に心地よい沈黙が流れる。


「ねぇねぇ、セルティ…」


そこでふと隣の女子風呂からミアの声が聞こえてきた。

そうか、ミアはセルティさんのことをセルティって呼ぶようになったんだ。

彼女たちもだいぶ仲良くなれたみたいだ。


「はい。なんでしょうか?」


「あぅ…ミアのむねも、セルティみたいになる?…ペタペタ」


おっと…こりゃいかん。

隣の桃源郷から甘い香りが漂ってきやがったぜ。


「わ、私はそれほど…大きくないので…ミアのほうが大きくなりますよ。」


「ほんと?」


「はい。ミアのお母様は大きかったですか?」


「うん!おっきかった!」


「ではミアも大きくなるはずです。」


「ぉぉ~~!」


そうか、セルティさんは控えめなお胸でございますのね。

ってそうじゃない!

これ以上盗み聞きのようなことはできない!


「おほん…エドさん。そ、そろそろ上がりましょう…」


「あ、ああ。そうしよう。」


そう。

ボクもエドさんもジェントルマンなのだ。

うら若き乙女たちの会話を盗み聞きするような無粋な真似はすまい。


「セルティ…さわってもいい?」


「…ちょ、ちょっとだけなら…かまいませんよ。」


「もみもみ…おぉ~~。やわらかい!もみもみ…」


「んっ…////」


「わぁ~~。もみもみ」


「んふふ。くすぐったい…おかえしです。」


「あはは!セルティくすぐったいよ~」


いいぞミア!もっとやるんだ!

ってそうじゃない!


「く…っ!」


エドさんも「く…っ!」とか言いながら脱衣所の手前で止まってしまっているぅ!

やはり男の性には抗えんのか!

こうなったら腹をくくるっきゃない!


「エドさん…もう少し浸かっていきましょう…」


「リュウ君…!」


そして・・・


また湯船に肩までつかりなおしたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後脱衣所で身体を拭き、服を着たボクとエドさんは

キンキンに冷えたミルクをセルティさんとミアに用意して待っていた。

さらに湯上りの二人を扇ぐための鳥の羽でできたうちわも用意している。


「こんなことで我々の罪が償えるとは思えないが。せめて…。」


「はい。ですがせめてこのくらいは…!」


我々はうら若き乙女達の桃色の声を盗み聞きしてしまったのだ。

それはもう…エチエチな気分で。

セルティさん、ミア…すまない。


「セルティ!またいっしょにはいろ!」


「はい。喜んで。」


とそこへ、セルティさんとミアが女湯から出てきた。

二人は温泉施設用の浴衣のような館内着を着ていた。

二人が湯上りなのと、胸元が少しはだけて見えるのでとても色っぽい。


「セルティさん!ミア!お飲み物です!キンキンに冷えてますよ!」


「お二人とも、湯上りで少し暑いかと思います。私が扇ぎましょう!」


ボクはとっさに用意しておいたミルクを跪きながら二人にわたす。

エドさんも同じく跪きながらうちわで二人を扇ぐ。


「わぁ~みるくだ!ありがとう!りゅう!」


「あ…ありがとうございます…?あ…おいしぃ」


よかった!ミルクは好評のようだ!

湯上りの冷えたミルクは最高においしいからね!


「すずしぃ~ふぁぁ~」


「ふふ、エドワルド様まで。いったいどうなさったのですか?」


しまった。ボクがするのは別にそこまで不自然ではない。

だが、エドさんほどの冒険者ともなるとさすがに違和感があったか。


「そういえば…お二人とも。温泉ではお静かにお願いしますね。先ほども隣の声が…聞こえて…。-------!////」


セルティさんはそこまで言いかけて、ふと気がついたようだ。

セルティさんが聞こえたということはボクたちにも聞こえていたということに。


セルティさんは頬を赤く染めて自分の身体をかき抱くように隠した。

そして恥ずかしさのあまり涙目でそのまましゃがみこんでしまった。


「はぅぅ~~~~~/////」


「「(ヤバイ可愛すぎる!)」」


セルティさんの恥ずかしがる反応がかわいすぎる!

普段はクールであまり感情を表に出さないから、ギャップがすごい。


「ぅ?はぅーー?」


なんかミアがセルティさんの真似をしてしゃがみこんでいる。

自分の猫耳を両手で押さえながらちょっと首をかしげて。

ちくしょう!こっちもかわいい!


「エドさん!最終手段です!」


「ああ!わかった!」


実はボクたちは気づかれた場合を想定していた。

もし気づかれたらどうするか…最終手段の提案はボクだ。


最終兵器 DOGEZA だ!


「「大変申し訳ございませんでした!そして!ありがとうございます!」」


完璧な土下座だった。

異世界といえど、この姿勢が何を意味するのかは必ずわかるはずだ。

そして、我ら男共に夢と希望を与えてくれるこの女神に感謝を。


「---!も、もう!そんなので許したりなんかしませんからね!」


セルティさんは恥ずかしそうに頬を赤く染めながら

涙目でほっぺたを膨らませて怒った。


「もぅ…!ふん!です!」


セルティさんが次の日、ボクとエドさんに膨れっ面だったのは言うまでもない。

だがしかし、その顔が非常に可愛かったのは言わないでおこう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【冒険者の町】夜道


エドワルドとセルティは、リュウたちと別れた後、一緒の帰路についていた。

時刻は9時近く、もうだいぶ暗いのでエドからセルティを送ろうと言ったのだ。


「先ほどは本当にすまなかった…。隣の会話がまさか聞こえてくるとは思わず…」


「もういいです…。ぷぃっ。」


「あはは…すまない…。」


セルティはまだふくれっ面だ。

エドは苦笑をしながら一緒に夜道を歩く。


「そういえば…エドワルド様。リュウ様は…その。どうでしたか…」


「ああ…おほん。女性だったよ…。」


「!?…そ…それでは。彼女の…その…裸を見られて…!つまりは混浴…!?////」


セルティはリュウがやはり女性だったと知り、

つまりはエドとリュウが混浴したという事実に赤面した。


「まってくれ!女性とわかってからは、できるだけ見ないようにした!」


「そ、そうでしたか…。////」


「彼女がなぜ男のふりをしていたのか…大体のことが分かった…。」


「…!」


エドはリュウが身分を隠した貴族の令嬢であることをセルティに話した。

それゆえに、隠す必要があったのだと。


「…戦争で家族を…そうだったんですね…。」


この話を聞いてセルティは納得した。

リュウが宿に預けた馬はシャドウホースという珍しい馬だった。

そして馬車も明らかに貴族のものだったのだ。


「ああ…今も彼女は…きっと誰か生きていると信じて旅をしているんだ…。」


「戦う術も持たないお嬢様が…この戦争時に旅なんて危険すぎです。」


「ああ…私も同意見だ。だからセルティ…このことはどうか内密に。」


「かしこまりました。私も彼女たちを守りたいので。」


エドとセルティはこうして、リュウ令嬢(勘違い)とミアを見守ろうと誓い合ったのだった。



ちなみにセルティさんはC~Dカップです。

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