クローン法案の成立
クローン技術、それは禁断の書。
神の領域を犯す、魔法の書である。
魔法の書に書かれた呪文を唱えると、望みが叶うように、
遺伝子情報を読み取り、手を加えることによって・・・
だが、日本政府は倫理という厚い壁を打ち破り、
クローン技術の研究を進めたかった。
202X年のことだった。
「ねぇ、クローン創った?」
「う~ん、迷ってる」
「なんで~
私なんかすぐ創っちゃった」
「う~ん」
「お金より、
命より大事じゃん」
「命より?」
「だって、なにかあったら・・・
すぐに復活できるじゃん」
「・・・」
「もし、なくなったら・・・
私、どうにかなっちゃう」
こんな会話が女子高生の間で交わされていた年、
与党はクローン法案を国会に提出した。
賛否の世論は拮抗していた。
未だに倫理の厚い壁はあったが、
若者世代には自然と受け入れられていた。
それは政府の世論操作があったからだった。
202X年になるとクローンは当たり前の言葉として使われるようになった。
それはスマホだ。
以前ならデータの『バックアップ』、『コピー』と言っていたが、
それを『クローン』と呼ばせたのだった。
若者たちを洗脳するため。
政府は頭打ちになったスマホ業界に働きかけた。
70%オフでクローンスマホを提供するようにと。
ネット接続は両方使わないだろうということで。
そして、『クローンを創る』という言葉の抵抗感を引き下げたのだった。
みなさん、気を付けましょう。
『スマホのクローンを創ろう』という言葉を聞いたら。
それは何かの思惑があるかもしれないということに。




