十話「カササカス」
レッドアイさんを見て、私は聞いた。
「レッドアイさん、彼を殺してどうするんですか?黒玉、来るんですよね?どうやって……」
「あはっはっはっ。来るわけねーだろ、あんなのただの奴のハッタリだよ。なぁ?」と兄は笑顔でレッドアイを見る。
「悪いが来る。お前には言っていない。正確に言うと、誰にも言っていない俺と王族とこいつしか知らなかった伝説の話だ。教えると誰か使うと思っていたからな」と兄とは異なって深刻な顔をするレッドアイさん。
「おい、お前!!このまま俺らを放っておいて向こうの世界で呑気に過ごす気かよ?」と兄。
「あぁ、そうさせてもらう」
「んだと!?こらぁ!!」
傘を叩きつけるかのように置いた兄はレッドアイに向けて力強い拳で彼を殴る。しかし彼はその手を自分の掌でがっしり掴んだ。
「んなわけねーだろ?ただ信じてくれるか分からんからあまり言いたくねぇんだ、この方法を」
「あるのかよ。なら、言えよ。さっさと」
兄は彼を殴ろうとした拳を下ろして彼の話を聞く体勢になる。
「レッドアイさん、頼みます」と私も後押しをした。
彼は私たち兄弟を見て納得したかのように頷いてから口を開いた。
「君が黄金の傘を抜いたあのトンネルの近くに石碑があるんだ。亡き初代団長ユエール……つまりこいつな。こいつが描き示したそれは禁術のことと解除の方法。どうやら、こいつが消える際に取り残された情報を記したメモ帳が落ちたのを元に書いてるみたいだ。そして解除の方法名は”カササカス”だ」
「カサ……サカス?」と私は言ってみる。
「おう、よく分かったな?そういうことだ」
「どういうことですか、レッドアイさん?」
「何だ、分かってねーのか。カササカス……傘咲かす。傘を咲かす。つまり空に向けて傘を咲かせろということだよ。集団で大きな傘をな」
「えっ、それって……でもそんな簡単なことでいいんですか?」
「簡単?簡単じゃねえよ。信じ合っていなければ出来ないことだ。なぜなら、俺らの武器は傘だ。簡単に隣の者を殺せる。しかもユエールの言葉はこれで何が起きるかなんて自分でも分かっていないらしい」
「無いよりはマシだ。ほら、仲間ならわんさか来たぞ?」
兄の言う通りに公園にあっちの世界にいた仲間たちがいる。中にはあの城でいた姫もいる。副団長や赤団の仲間。それ以外の色の団長や団員たち。そしてミルキー団。一つ地面の下で傘を広げて人が密集していく。大きな傘が出来上がっていく。
「地鳴りがしているな」
レッドアイさんが言う通りに地鳴りがしていた。私は傘の隙間を見て黒玉が空から見えるのが分かった。あの距離から考えて私たちなんて簡単に踏めてしまうぐらいの大きさかもしれないと判断した。
「みんな、目を伏せて言え。”カササカス”と。では、行くぞ?」
私はみんなと共に目を合わせて一言言う。
「カササカス」、と。




