三話「悪夢世界開幕」
兄である中原優也を追いかけていると、ピタッと止まった。そして彼は前で何かをしているように見えたが、手には黒い禍々しい傘を握り始めた。どうやら、フード付きの服のチャックの中と自分の体の隙間に出来た空間の中で傘を仕舞いこんでいたようだ。
彼は地面に傘の底を付けると、布が底まで伸びるかのように彼の服はマントとなり変わっていく。あっちの世界に行く前に見た黒いフード服を来た男や悪夢に出てきた男の姿にまるで似ていた。
「そうだよ、この力だよ。これから始まるんだよ。この世の滅びの時代が」
彼はそのまま傘を振るうと、彼のそばに立っていた電柱柱が倒れ込む。それと同時に電線に火花を飛び散らしてる。私は身の危険を感じてその場から離れた。
「誰だ?」
彼に私の姿がバレてしまった。
「何だ。こいつの弟か。こいつを殺した時は良かったよ。それにしても今、何でお前がここにいる?……あぁ、そうか。レッドアイの野郎か。あいつに意識が戻って罪滅ぼしとでも言うかのように俺が事を起こす前に来させたというわけか。丸腰のくせに」
「うるせぇ!!名も分からん奴が」
「そうだな。じゃ、お前、俺をこう呼べ。”黒影”、と。お前とは事が済んでからも会う気がするからな。またな、丸腰君」
「おい、待て」
私が手を伸ばした時には、時は既に遅し。彼はマントをひらりと自分の体を一回転横に回るかのように舞うと、そのままマントと共に消え去ってしまった。まるでどこかのマジックショーを一瞬だけ見せられる気分だった。彼の言う通りに傘を盗まれてしまった丸腰の私には何も出来なかったのだった。




