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二話「私が亡くなった家族」
私は仲間たちと別れて自宅に帰る。インターホンを鳴らそうとベルボタンを押そうとした時だった。誰かが来ると思い、咄嗟に庭の方の電柱柱へと隠れてしまった。そこには私の兄の姿があった。黒いフード付きのパーカーを身に付けて玄関の外に出てきた。その後ろから玄関から顔を覗かせた母さんが話しかけている。あっちの世界に行った時よりも年は離れているようだ。
「優也、気を付けてね。あの子だってまだ見つかってないんだから」
「そろそろ忘れようよ、亡くなった俺の弟なんか」
彼はそう言った。私は仏壇の方を見る。そこにあったのは兄である中原優也ではなく私の写真だった。どうやら、あっちの世界に行ったら入れ替えられたようだ。
「それよりもさ、用心しなよ?母さん。最近流行ってるみたいだぜ、死んだはずの少年が大人になったからと言って姿が別人になったということで家族に面倒を見てもらってる犯罪が」
「そうなの?よく勉強してるのね」
「あぁ、だってこういう世界の方が面白いでしょ?」
「ん?何か言った?」
「ううん、じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
彼は母さんに背を向けるなり、にこりと笑う。そしてそのまま私とは逆の方向へ行った。私は彼のせいで中に入れないため、母さんが家の中に入っていくのを見届けてから彼の後を追った。




