表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カササカス  作者: 未知風
「繋がった世界」編
6/79

四話「行方不明の兄」

隣の家に住む明彦と別れ、最後に残った私も家に帰るのだった。

インターフォンを鳴らし、「ただいま」と言う。


「おかえり。おやつあるから手を洗って」とお母さんが言う。

「そうだ……。お兄ちゃんに挨拶しないと」


私は黒い仏壇の前に座る。笑顔の兄の写真がそこにある。

彼と私の年齢の差は六歳である。

その彼は死んだことになっている。葬式は行われていない。遺体がないからだ。そういうのも彼はずっと行方不明になってるのだ。彼はどこに行ったのだろうか。


「何してるのよ?さっさとおやつ食べちゃいなさい」

「分かったー」


私は手を洗い、テーブルにあるケーキの前に座る。


『……エベレスト登山の最中、雪崩に遭遇して行方不明になっていた。荒目あらめさんが見つかったそうです。では、彼のインタビューです』


ニュースキャスターがそう言う。


『いやー、まさか傘を使って争う人々がいるとは……』

『はい?』


 何言ってんだ。このおっさんは。雪崩で頭を壊したか?そもそも何でこんなにピンピンしてんだ。二週間も見つかっていなかったのに。


「お兄ちゃんも見つかればいいのにね」

「ねぇ、あの仏壇しまおうよ」

「バカ言わないの。あれはおじいちゃんのもあるのよ」

「そうだった……」


正確に言うと彼の写真だけがおじいちゃんの仏壇を借りて飾られているのだった。


「まぁ、でもあなたもおじいちゃんに会ってないから仕方ないわね」

「あっ、今日五時に公園でみんなと待ち合わせをしてるんだ」

「そう。じゃあ、少ししたら出ないとね。七時前には帰るように促さないと家に入らせないからね?」

「分かってるよ。約束だもんね」

「傘、持っていきなよ。雨降るから」


その後、私はチョコケーキを食べ終え、リュックに折り畳み傘を入れる。他にも色々と役に立ちそうな物を詰め込む。

 玄関の近くにある長傘を持つ。リュックのは忘れた子の分である。


「では、行ってくるね。お母さん」

「行ってらっしゃい」


私はこうして学校に向かった。

まさか、この後あんな世界に行くとは誰が知る由があっただろうか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ