一話「黄金の傘を探せ」
目を覚ました山田行彦は辺りを見渡す。そして不思議そうに私たちを見て耳を疑うようなことを言う。
「あれ?団長と雪下さん、どうしたの?そんなに大きくなって?雪下さん、胸大きくなってる?それにここはどこ?」
彼はまるでさっき話をしていた彼とは別人になって、十年前の城の中で行方不明になる前の彼の口調で話をしている。
「今まで何があったか、教えてくれないかなぁ?」
「うーんと、自分は団長たちと共にトンネル入って何かでかい城で声がする方に行ったら鏡があって……それでその鏡に手を触れたらそのままするりと入って……いつの間にか意識を失われて。ただ誰かに何度も『黄金の傘を壊せ』と言われ続けてた」
「黄金の傘?」
「よく分からないけど、そう言っていた」
「ねぇ、彼の話信じるの?」と雪下さん。
「こいつ、俺らを殺そうとしたんだぜ?信じるのか?」と秋彦。
確かにさっきまでは私を殺そうとした。だが、今は何もない情報の中で信じれるそれは救いなのかもしれない。それに彼の言葉の内容は私たちがいなくなってからの筋は通っている。ただ情報が少ないのが、二人の言葉に同意をしてしまいかねない。そして”黄金の傘”、それは何なのか。
「ひとまず黄金の傘を探さないとな。俺ら、四人で」
「団長がそう言うなら……」と秋彦。
他の二人も同意した。そして私たちはまた森の奥へと入って行くことになった。




