十話「悲劇からの逃走」
しばらく待っていると、声がかかる。
「団長?雪下さん?」
「秋彦、目が覚めたか?何があった?」
「何か鋭い目をしたイノシシに蹴られたような……」
「そっちじゃない。それは私、イノシシじゃなくて悪かったわね。その前のあんたが逃げる前の状況を話して」と雪下さんは怒りながら言う。
「そうだな。お前たちと最後に会ったあの日から八年。つまり今から二年前ぐらいの話だ。ちょうどレッドアイさんが帰ってきたことを自分の青団の宿から遠く離れた場所でミッションをしてきた私にまで伝わってきた時だった。その知らせを聞いて青団の宿に帰ってみたらどうだ?青団の一員全員が殺されてたんだぞ?団長も副団長も。そんなことに驚いていた私にレッドアイ及び赤団の奴らが私を近くにいたし、恨みがあるなどから犯人に仕立てたんだ」
私は首を傾げながら聞いてたが、彼に聞いてみる。
「本当に二年前なのか?五年前じゃなくて?」
「あぁ。それまでレッドアイさんは見てない。赤団の副隊長は見ていたけどな、五年前に帰って来たのを。その時は『彼ならやることあるから』って言っていたが何だったのか」
「お前に会った時のレッドアイさんに何か違和感あったか?」
「そうだな……いつもと変わらないような……いや、黒かった。黒いオーラが漂っていた。赤団全員にな。さっきの話を繋げるならそれを見て他の団も奴らに応戦していた。そういえばその中に黒いフードを着た男がいたんだけど、どこかで見かけた顔なんだよなぁ……」
「まぁ、いいや。それで他の団と揉めながらお前は逃げてきた二年間だったと。そして俺たちは殺されたことになっていたと」
「あぁ」
「他のミルキー団一員も危ないってわけか」
「久しいねぇ。君たち……くっくっくっ」
声がかかる方を見ると、そこにはかつてあの姫たちがいた城の中で別れたミルキー団の一人、山田行彦だった。彼は黒いフードをかぶって私たちの前に現れたのだ。




