五話「もう一人の同行者」
彼女は私と雪下さんを見ると、まるでライオンが目で獲物を捕らえたかのような眼差しでこちらを見てくる。
「殺す!!」
「ひぃぃぃ……ねぇ、あんた。何か彼女にしたでしょ?夜中に彼女のおっぱいを揉んじゃってばれたとか誰もいないのを確認して下着を盗んでいたら実は彼女が裸であなたの後ろに仁王立ちで立っていたとか」
「してないよ?雪下さん、パニックって何言ってるか分かってる?それにその前に君のを触るよ?」
「あん!?私から彼を奪うだって?そもそも彼はどこなのよ?」
彼女の恐ろしい口振りが怖い。足が震えて立つことがままならない。黒い眼鏡の奥にある瞳がこちらを睨み付ける。彼女は私たちの所属しているギルドの副長だ。あの城騒動の時にレッドアイさんを睨み付けていた彼の幼なじみである。
「さぁ、覚悟しなさい。でかい化け物」
「……うん、分かった。どうやら彼女はあいつに言うセリフを俺らに向けて言ってるだけだな」
「あんまり言わない方がよろしくて?」
「ふっ、面白そうな二人だな。よく言うでしょ、敵を騙すには味方からって。傘返諸刃来!!」
彼女は両手で傘の上下先端を持つ。その傘に当たった斧はぐねりっと曲がった傘の戻された勢いでそれを持つギザイアと共に弾き飛ばされた。
「ちっ、邪魔なメスだな。それにヤバい奴が来る。その前にズラでも刈るとしますか」
そう言って剛雲のギザイアはどこかへ去って行った。
「ちっ、逃げたか。んで、揉んだりした感触は気持ちよかったか?あん?」
「嘘ですよ、それ。ねぇ、ゆきし……」
彼女は私と副長のやり取りを目で反らすように顔を向けている。そんな先から一人の人影が私たちの目の前に現れるのだった。




