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三話「小さくて何が悪い」
彼はそのまま私に声を掛ける。
「そんな小さく脆い棒で何ができる?」
「うるせぇ。小さくて何が悪い?棒じゃねぇ、傘だ。そしてお前と今、話すことが出来ているだろう?」
私がそう言うと、この建物一斉に笑い声が起きる。そのまま振り返ると、フードを被った人たちが半立ちで大笑いしていた。その中に取り残された仲間たちは唖然とした表情で座り込んでいた。そして目の前にいる赤いフードの男も笑っているらしい。小刻みに震えてやがる。その前に立つ七咲さんは緊張が解けたのか、口を開けて大粒の涙を流し壁に垂れ流れるようにして座り込んでしまった。
「悪い、やりすぎたか。思った通り……いや、それ以上に俺らがやろうとしていた特訓の準備が整っていたから、つい。その……ごめんな。ひとまず第一特訓は半クリアだ。俺がいたら飯は食えねえだろうから出るわ」
その時、彼の方からお腹が鳴る音が聞こえる。
「気のせいだからな」と言いながら彼は雪下さんの横に行く。
「ホント、サイテーなんですね」と彼女は彼に言った。
「ふっ。お前はあいつにホントに似てるな。まぁ、何とでも言え」
彼はそう言って彼女の頭を軽く一回乗せて外に出て行ってしまった。
あいつとは?、その疑問が脳裏に浮かぶのだった。




