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十話「シロの残骸」
城の階段の途中にあるガラスの前で赤いフードを羽織った男は止まった。
「こいつさえいなければ」
彼の重々しいその言葉は鏡に言ったのではない。鏡に映った彼に言ったのだろう。何故分かるのか。それは先ほどミルキー団の一人を無くした私がそれに近い思いでガラスを見ていたからだ。
「おっさん、そんなとこで止まるぐらいなら共に前に進もうぜ?」
私は彼にその言葉を吐いた。彼の気持ちは痛いほど伝わるから。誰かの前に立つ責任が鏡に映った自分自身の眼差しの先に見透かされている気持ちを私も分かるから。その言葉だけしか彼にはかけられない。
「ふっ。その言葉……後で後悔するなよ?」
彼はにこやかに笑う。その後頭部を見ながら一番下の階へと降りた。そこには無数の白いフードたちが倒れていた。彼はその中をひたすら顔を中心に目で追っていた。
「彼女はいませんよ。あれは本物だと思います。おそらく行彦だって本物でしたから」
私が言うと、彼は明らかに嫌な顔をした。そして一言言って外に出たので私たちも後に続いた。
「シロの残骸はここにあり」、と。
更新遅れてすみません。もう二話連続で行きます。




