九話「女は怒らせると怖い」
私たちが階段を降りていくと、赤いフードを着た複数の人々が姫がいる部屋を目指して上がって来る。その前を一人の黒髪の眼鏡をかけた女性がいる。
「あの女たちは何をしてるのかしら?」
「副長!!またそんなこと言ったら団長とまたケンカになるじゃないですか」
「ケンカ?違うわ。殺害予行訓練よ。だって私……」
彼女は私たちの前に立つ一人の男を睨みつけて腰につけていた傘を取り出す。正確に言うと、傘の布部分から骨組みの中心となる鉄の細長い部分だけを取り出す形だった。人間で言うなら背骨部分か。そして手にはその手前にある取っ手が握りしめられていた。その傘を目の前の男の首に差し出していた。
「あの女は?」
睨みつけた冷えたその言葉に私は固唾を飲んでしまった。
「あっちの世界に行ったようだ」
それを男の口から聞くなり、彼女はまた階段を上がろうと足をかけるが、後ろを振り返るなり「何を止まってる?行くぞ?」と他の赤いフードを着た人たちに告げてまた上に上がった。そんな彼女に促されるなり、立ち止まってた赤いフードを着た人たちは私たちに深く一礼するなり、足早に彼女と同様に階段を駆け上がっていた。
「何だったんだ、あの女は?」と明彦。
「あいつは俺の幼馴染だ。昔から何かと突っかかってくるからお前らは気にするな。まぁ、何だ。女がいるからあんま言いたくないが、女は怒らせると怖いぞ」
そう吐き捨てるなり、彼は再び階段を降りていった。




