八話「誰が上に立つ」
姫の喚き声を聞いていた赤いフードを着た男は彼女に向かって言う。
「それ以上、泣くな。人はいずれ死ぬ。それが今なだけだ……今、この国で誰が上に立つ?」
「……だったらあんたが立ちなさいよ!!」
泣きべそをかきながら金切り声で彼女は訴える。
「いいんだな?」
「うぅ……」
彼女の唸り声を聞いた直後、彼は右手の拳を固く握りしめて彼女の頬を殴る。彼女はその場に傾れるように倒れた。姫の鳴き声はさらに激しくなる。
「私は王族よ!!なのに……」
「だから何だ?今、上に立ってるのは……」
それを言う彼の頬に雪下さんの手のひらが叩かれる。
「サイテー」
彼女の冷え切った声が彼に突きつけられる。
「おい、お前ら。この女を死刑にしろ……俺は」
「やめろよ。偽善者共!!」
私は無意識にその言葉を大きな声で吐いてしまった。あまりにもその声が大き過ぎて自分で驚いてしまったが、話を続ける。
「姫は姫自身が立つことで王様たちと同等になれるのかや自分に役目を背負えるのかなんて考えているんだろ?赤の男は姫に何としてでも姫としての役割をしてもらいたいがために姫を刺激してんだろ?雪下さんは彼女を守るがために彼に反発してんだろ?あんたら、共通して”今後の自分の印象”を見せびらかし過ぎだ。誰が上に立つなんてどうでもいい。でもな、姫。よそ者であった私が言うのもなんだけど、こんなかわいい女の子が泣き喚いてたらかわいさがもったいない。それなら私たちよりも上に立って笑え!!それに付いていくのが私たちだ」
私は一気に言葉を発した。その場にいた者達は口を開けていた。姫様を含めてその場にいた女は薄らと赤くなっていた。
「あれ?なんか変なこと言ったかな?」
「ふっははははは!!こりゃあ、おもしれぇ。そうだ、こいつの言う通りだ。悪かったな、姫もそこの女も。そんなお前らのことを好きになってしまったよ。さぁ、どうする?」
「……ふん。今は仮に上に立ってあげるわ」
「それでよい。そろそろ、うちのなどが来るだろう。またな、泣き虫姫。お前ら、行くぞ?」
「泣き虫じゃなーい!!」
姫に別れを告げて私たちも彼の後に付いて行くのだった。




