20/79
七話「姫の悲鳴」
白い連中が立ち去った後、赤いフードを着た男は上の階を見る。そして私たちに向かって言う。
「急げ!!」
私たちは下りてきた階段を駆け上る。そして黄金の扉が開いていたのでそのまま侵入する。
「王様……王様!?」
そこには血だらけで横たわっていた王様がいた。そしてその隣には……。
「女王様!?」
彼女もまたその場で倒れていた。そして少し離れたところで女の子座りをして泣き崩れている女の子の姿があった。
「姫!!ご無事ですが?」
「うぅ……母上……父上……。あいつが……」
彼女は指で部屋の奥を指差す。そこには傘から血を垂らした一人の少年がいた。
「行彦!!」
「それ以上近寄るな。俺はお前らの知っている”山田行彦”では……」
私は彼に近寄り、小さなこの傘を振るう。しかし彼に当たった感触はなく、彼の体が透き通っていただけだった。
「ない。じゃあな。楽しかったよ」
彼はそう言い放ち、私の目の前から消えた。そしてこの部屋に血の匂いと姫の悲鳴だけが嫌にも私たちの体に染み込んでくるのだった。




