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六話「逃げるな」
怯えながらも傘を構える仲間たち。そんな相手に躊躇することなく、傘を振り回す白い連中たち。それでも何とか対峙している。
「このまま何とか敵を下の階に追いやれ。お前らにはきついだろうが」
赤いフードを着た男は言う。
その時だった。上の階から女性の悲鳴が鳴り響いた。
「くっ。お前ら、何をした?」
「撤退だ」
白い連中を掻き分けるように一人の女は言う。
「お前ら、ただで済むと思うなよ?クレア・ハートも落ちたな」
「お前は……」
言葉を言い放った後、クレア・ハートと名乗る人は白い連中と共に一瞬で消えた。まるで絆創膏を貼ったはずなのにいつの間にか取れて消えてしまったかのように。