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十話「赤と青」
目の前に赤い何かが落ちてきたかと思うと、黒い線や斑模様の形をした染みか何かを付けた赤い布が一面の壁となって現れる。そしてその布から発さられる臭いもまた独特なあまり好ましくはない臭いだった。
「お前ら、こいつらが何に見える?襲いにかかろうとしているか?なら、俺がそのお前らの目玉を取り出して治してやるよ。このフードに塗られた血と共にお前らから出た汚い血も浄化してやるよ」
青色のフードの人々に向けて放たれた言葉は鋭く刺さった釘が壁に張り付くかのように私の耳にまでくっついてしまいそうだった。
「ちっ。邪魔が来たか。戻るぞ」
「はい」
そうして青色のフードを被った人たちは私たちの元から姿を消した。
「……んで、お前らは何者だ?」
そう言った赤いフードを被った男は鋭い目でこちらを見つめるなり、何かに気が付いた表情を一瞬浮かべてはまた私たちを鋭い目で見るのだった。