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第五十八話

今回もホミ目線です!





 私達の行く手を遮ったのはこの城の兵士ではなく、どう見ても冒険者風の男性達だった。

 それも見た目から察するに中級冒険者は確実だと思う。


 今はユージが私達を代表してその男性達と会話をしている。

 そして会話の内容でハッキリしたけど、この人達はやはり冒険者だった。それもネウトラル様から聞いていた、この国が他国に攻め込むためにお金で雇った人達だった。


 でもこの人達は何故、今日この場所に私達がくることがわかったのだろう?

 城の中に兵士が見当たらないのと何か関係があるのかな……。等と考えていると、突然目の前に居るユージが頭を抱えてその場にしゃがみこんだのだ。



「うわぁ~、俺達もここで終わりなのか~。でもこんな強そうな人に出会したら仕方ないのかな~。」



 突然ユージが諦めたような事を言い出したので慌ててポミが駆け寄った。だけどそれ何か考えがあっての行動らしく、ユージは自分の傍まで来たポミに小声で伝えていたのだ。



「ちょ、ちょっと突然アンタどうしたのよ!?」

「しっ……俺に考えがあるから黙って見てろっての。」



 言われてみればどこか芝居がかっていると言うか、凄くわざとらしく感じる。そして二人の会話を聞いていて、ユージが今何をしようとしているのかがすぐにわかった。この人達から情報を聞き出そうとしているのだ。

 でも……確かに今ユージが話をしている人は単純そうと言うか煽てられる事に弱そうに見えるけどそんなにうまくいくのかな?


 しかし私の心配もすぐに意味がなかったと理解した。

 ユージの口車に乗ってその男性はなんでも自分に聞いてこいと言ったのだ。

 さすがに単純すぎると言うのかあまりにもうまく行きすぎていたので私とポミは思わず考えていることを口にしてしまった。



「アイツ……バカね。」

「……かなり残念だね……。」

「お前ら止めとけ!聞こえたらどうすんだよ!」



 ユージに止められて私達はそれ以上の言葉を発することはせず、自分の胸の内に秘めておくことにした。

 これで父様の手がかりが得られるかと思ったけど、まだ喜ぶことはできない。この人が本当に自分の知っていることを教えてくれるかわからないからだ。


 どんな時も偉そうなユージが、何とか父様の事を聞けないか下手に出ながら話をしていた。いつものユージを知っているだけに凄くイライラしているのがわかる。それでも我慢をしてわかったことは……この人も先程来たばかりで父様の事は何も知らないと言うことだった……。

 確かに聞けばなんでも教えてくれるかも知れないけど、最初から聞く相手を間違っていたようだ。話も一区切りついたようなので、とにかくここまで我慢をして話をしていたユージの傍に私とポミは近付いた。


 私と同じことをポミも思ったらしく、これ以上の会話は無駄じゃないかと尋ねている。しかしユージはあと一つ確認したいことがあると言うので私達は再び後ろに下がったのだ。


 しかし父様の事以外に気になる事ってなんだろう?王様の居場所でも聞くつもりなのかな?でも、さすがに私達だけでこの城のどこかに居る王様に会いに行くことは無いと思うけど……。

 私はユージがあと一つ何を聞きたいのか気になっていた。


 そして今度はその答えを男性から聞くことが出来たのだ。どうやらユージは城に入ってから僅かな時間だけど、ここを守るべき兵士に会っていないことの意味を聞きたかったらしい。


 多分ここから先、父様を助けるための戦いは厳しくなると思う。そんな時に相手が自分の意思でこの場に居るのか、それとも上の者に命令されて意味はわからないけどそれにただ従っているのか確認したかったんだろう。

 口では何だかんだ言ってもユージは優しいから。

 その証拠にユージなりに外で戦った兵士達を必要以上に傷付けたりしていなかったからだ。

 

 とりあえずユージ自信も知りたかったことが知れてとりあえず満足したようだ。何故そう思ったかと言うと、二人の会話の最後の方でこれまで相手を煽てるように話していたユージの口調が元に戻っていた。

 だけどまだ話したり無いのか上に居る男性は私達に向かって話を続けている。


 これはあれだと思う…。そろそろユージの我慢も限界そうだし…。



「しかしよ、ヤンキーとかいう聞きたことない組織が攻めてくるから気をつけろって言われたけど何のことはねえ、実際に来たのは頭の悪いガキじゃねえ……ぐえええええ!」

「誰が頭の悪いガキだよ。まあ実際は頭悪いんだけどよ、てめえらには言われたくねえんだよ!」



 うん……。やっぱりやると思ったよ……。

 ユージは一向に話を止めようとしない男性に、外で見たものよりも大きな拳の形をした炎を撃ったのだ。

 話に夢中になっていたせいなのか男性はユージの放った炎をまともに受けて後ろに大きく飛んでいった。


 だけど直接父様には関係ないとはいえ、この時間が全くの無駄に終わらなくてよかったと思う。しかしここで私の中にもう一つ気になることが出来てしまった。

 『ヤンキーとかいう組織』ってなんの事だろう……?


 さっきの男性は私達の事をそう呼んでいた。私は勿論だけど、多分ポミも初めて耳にする言葉だと思う。もしかしてユージの記憶が私達の知らない間に戻っていて、さっき耳にしたヤンキーって組織に入ってるのかな?それとも他の言葉と聞き間違えたのかな?

 私はヤンキーってなんの事かと聞こうとしたが、やっぱり今このタイミングでそれを聞くことは止めておくことにした。単純に聞き間違いかもしれないし、もしかしたら聞かなかった方が私達にとって良かったと思うかもしれない。だけど今はどちらにしてもユージは父様を一緒に助けてくれる仲間には変わりないのだから、その事は全てが無事に終わってから聞こうと思った。

 とにかく今はユージを信じて父様を助け出すことだけを考えようと思う。



「へー、リーダー倒されたってのに誰も動揺してねえんだな。」

「……それは私も思った。寧ろ倒されるのが当然みたいな顔をしている気がする……。」



 話も終わりユージが相手のリーダーと思う男性を倒したのだが、上を見ると誰一人として慌てることなく先程までと同じ様にこちらを見下ろしていた。

 これもまた不思議な感じがした。私達で言うと、ユージが倒されたとしたら完全にパニックになると思う。だけど上の人達からは動揺なんて微塵も感じることがなかったのだ。


 すると上の人達の不気味さに頭を悩ませている私に、何故か少し楽しそうな表情をしたユージが体を曲げ伸ばししながら話しかけてきた。



「ごちゃごちゃ考えても仕方ねえし、さっさとアイツ等倒して先に進むぞ!二人ともここに入る前にも言ったけどよ、とにかく自分達の身の安全だけを考えろ!」



 確かにユージの言う通りだ。今は一刻でも早く父様の元に行かないと。さっきから余計なことばかり考えて……私の悪い癖だと思う……。

 気を取り直して、私は直ぐにユージに返事をした。



「わかったわ!」

「……うん!」

「よっしゃ行くぞぉ!」



 そう言うとユージは上に居る人達に向かい駆け出していったのだった。

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