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第五十七話

今回はホミ視点になってます。






 父様を助けるためにポミとユージと一緒に城に居る。


 最初は私達姉妹だけで城に来たのだけど、すぐ後から追いかけて来てくれた。

 冒険者協会でネウトラル様にも言われ私達もわかっていたが正直父様を助けるなんて無謀だ。

 下手をしたら命を失う……。

 そんなこと多分誰に言われなくても、誰が考えてもわかる。


 だからユージが来てくれて複雑な気持ちだった。でもその理由を聞いて私達は拒むことが出来なかった。



「……ユージはなんでそこまで私達にしてくれるの……?」

「仲間がマジで困ってるのに黙ってみてられねえよ。これじゃ理由にならねえか?」



 その言葉が単純に嬉しかったんだ思う。それは一緒に居るポミも恐らく同じだ。

 出会ってまだ間もない私達を仲間と呼び、自分の命を賭けて助けに来てくれたユージに全てを託すことにした。





 しかし城に一歩足を踏み入れた途端に私達は大勢の兵士に囲まれたのだ。

 私もポミもこの数の兵士を目の当たりにして当然慌てた。入ってすぐに、やっぱり父様を助けるなんて無謀なんだったと……そんな気持ちすら湧き出てきた。

 だけどユージだけは違った。この状況でも全く動じること無く目の前の兵士と会話をしている。


 そして会話が終わると私達にこう告げたのだ。



「お互いの身の安全だけを気にして俺の後をついてこい。」

「「わかった。」」



 言われて迷うこと無く返事をした。何故かユージの言葉に私達は安心している。それはこの状況でも変わることのない自信に満ちた態度のせいなのか、それとも出会って僅かな期間で私達の想像を越えたことを次々と見せてくれたからなのか理由はわからない。

 でもユージがそう言うなら、この状況で私達はそれに従うだけだった。そして今回も想像を越えた光景を目の当たりにした。


 まだ魔術を覚えて間もないのに特大の炎を放ったり、ネウトラル様と同じ身体強化の魔術を使い目にも留まらぬ早業で一人、また一人と倒していったのだ。



「オラオラオラオラ!王を守る兵士の実力ってのはこんなもんかよ!もっと気合い入れてかかってこいや~!次はどいつだぁ!」

「……ユ、ユージ…もう誰も立ってないよ……。」

「んあ?もう全員叩きのめしちまったのかよ。」



 目の前で何が起きているのかハッキリと目で追うことが出来ない。だけどユージの表情が兵士達を攻撃していく度に、徐々に凄くイキイキしていくのだけはわかった。それは少し怖かった……。

 ただ周りに横たわる兵士達を見ると、ここまでユージは誰一人殺してはいない。それどころか的確に気絶させていて、必要以上に怪我をしている人も誰も見当たらなかった。

 口では激しいこと言いながらも、多分手は抜いていたんだろう。自分の命を狙う相手にまで変に優しいところも私は嬉しく思った。


 そして気がつくとこの場に立っているのは私達三人だけになっている。この時点で私達二人ならきっと捕まっていた。なのにユージが居てくれたら、かなり無茶なことをしているのは理解しているけど何とかなりそうな気がしてくる。


 ここまで来たらもう後の事なんて考えても無意味だ。今は父様を助けることだけを考えてユージの後を着いていくしかないのだから。






 城の中に入ると、私は直ぐに違和感を感じた。今いる場所付近に人の気配がないのだ。

 外でもあれだけの兵士が直ぐに私達を捕まえる為に集まったのだから、当然中に入れば城内を守る精鋭が集まってくると思っていた。別に捕まりたいわけじゃないけど、王様のいる城でこの雰囲気は逆に不気味にすら感じたのだ。


 そして私と同じことをポミも思っていたみたいだ。



「ねえ、何で誰も中に居ないの?」

「……それ私も同じことを考えていた。」



 見るとユージも多分同じことを考えていたのか、どこか落ち着かない様子で辺りを見渡していた。

 でも多少の違和感で足を止めている時間も私達には無い。

 父様が無事かどうか確認出来るまでは安心なんて出来ないからだ。


 そこで直ぐに三人で話しをして、時間がないのは全員理解していることだったので多少の違和感を抱えつつも先に進むことを優先したのだ。

 まずは城に入ってすぐ目に飛び込んできた部屋から調べることにした。


 ユージが先頭で扉を開け中に入り、私達は周りを注意しながらその後に続いた。

 そして部屋に入り城に入ってすぐ感じた私の違和感はますます強くなったのだ。


 ここに本来居るはずの兵士の姿が何処にも見当たらない。

 多分この部屋は城内を警備する人達が普段使っている場所だと思う。周りを見渡すと綺麗に整理整頓されて武器や防具が置かれている。


 するとユージがこの部屋の様子を見て、城内に兵士は居ないんじゃないかと言い出したのだ。

 確かにユージの言う通り辺りを良く見ると武器等を持ち出している形跡が無い。


 でも城の中に兵士が誰も居ないなんて有り得ないと思う。ここにはこの国の王様が居るのに、その王様を守りもしないなんて考えられないからだ。

 それに外には城を守る兵士は居た。だから余計にこの状況が不自然すぎて気味が悪かった。


 同じ事を三人とも考えていたようで暫しの沈黙が流れる。


 しかしいつまでもここで分からないことに費やす時間はないとポミが私とユージに声をかけてきたのだ。

 確かにポミの言う通り、父様に繋がりそうな物がなにも無いとわかったことが収穫だとここは思うべきだ。

 仮にこの中に兵士が誰も居ないのなら私達にとっては良いことなのだから。


 ユージもポミと同意見なようで私達はこの部屋を出ることにした。

 部屋を出ると入り口から真っ直ぐ伸びた、城の奥へと続く長い廊下を進んだ。すると程なくして、目の前に大きな広間が出てきた。前を見ると更に奥へと続く廊下が二本見えている。そして広間の中央には二階へと続く階段もあった。


 上に行くべきか、それとも正面に見える左右どちらかを奥へと進むべきなのか……。勿論これも考えるだけ無駄だ。なのでここは私もポミもユージの判断に従おうとお互い黙っている。


 見るとユージもどう進むべきか悩んでいるようだ。


 すると階段の前で立ち往生している私達に向けて二階から突然声が聞こえてきた。



「やっぱり外の奴等じゃ無理だったみたいだな。しかし残念だが、お前達が進めるのもここまでだよ。」

「あ?んだてめぇら?」



 そこにはどう見ても城を守る兵士ではなく、冒険者らしい屈強な体をした男達がこちらを見下ろすように立っていたのだった。


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