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第五十五話





 俺は先程まで偉そうに話をしていたリーダーと思われる男を火の魔術でぶっ飛ばした。


 イライラしながらも聞き出せたことといえば、今この城の中には俺達以外にはどうやら戦を起こそうとしている連中しか居ないということだ。

 ゼファさんの事は何も聞くことが出来なかったが、俺達がここに来るとコイツ等に予想されていたってことは、多分ゼファさんは既にここに来てると思う。


 何故ならあの時に名乗った名前をさっきの奴が口にしたからだ。どういう方法かはわからないが、あの地下牢での戦いが知られているのだろう。

 だとすれば、捕まったゼファさんを助けるために俺達が乗り込んでくると予想していても全く不思議じゃない。


 ちょっと急いだ方が良いかもな……。

 ゼファさんがここに来たことは何となくわかったが、無事かどうかは全く別の話だ…。


 俺はとにかく先に進むべきだと改めて思い、今だこちらを見下ろしている他の冒険者共を睨み付けた。

 しかしその時、少しだけ違和感を感じた。



「へー、リーダー倒されたってのに誰も動揺してねえんだな。」

「……それは私も思った。寧ろ倒されるのが当然みたいな顔をしている気がする……。」



 普通は群れの頭をぶっ飛ばせば多少動揺が広がってもおかしくないのに、コイツ等はホミが言うようにまるでそれがいつもの事かのような顔をしていたのだ。


 しかしそんな違和感で躊躇している暇もないので、俺は二人に声をかけた。



「ごちゃごちゃ考えても仕方ねえし、さっさとアイツ等倒して先に進むぞ!二人ともここに入る前にも言ったけどよ、とにかく自分達の身の安全だけを考えろ!」

「わかったわ!」

「……うん!」

「よっしゃ行くぞぉ!」



 俺は二人に声をかけるとそのまま階段を駆け上がった。


 するとその行動を待ち構えていたように上から声が聞こえてきたのだ。



「「火球ファイアボール!」」

「当然何かしてくると思ってたよ!」



 声と共に二つの火の玉が上に向かって走る俺目掛けて撃ち放たれた。

 ここまで黙ってこちらを見ていたが、やはりすんなりとは行かせる気はないようだ。

 こちらが上に向かっている分、直ぐ目の前までバレーボールぐらいの大きさの火の玉が迫っている。



「こんなもんでビビるかよ!舐めんじゃねぇよ!」

「「!?」」



 しかしこちらも無事に上まで上がらせてもらえるとは最初から思ってはいない。

 俺は走りながら右拳に意識を集中させ、即座に炎を纏わせた。

 そしてこちらに迫り来る火の玉をその拳で奴等に向けて打ち返したのだ。

 加速をつけて打ち返した分、先ほど俺が下から撃った炎よりも速いものが奴等に向かって飛んでいった。


 相手が完全に油断していたとは言え、コイツ等のリーダーがさっきのをまともにくらい今も気絶しているのを考えたら、これでまた二人倒しただろう。


 そう思い火の玉の行方を見ていたのだが、ここで俺の考えは見事に裏切られたのだ。

 まるで最初からこうなることを予想していたかのように、魔術をこちらに向けて放った奴等の前には盾を構えた男が二人立っている。

 そして後ろの奴を守るように打ち返した火の玉は構えた盾に防がれたのだ。


 これには正直驚いた。今のを防げるとも思わなかったし、それで二人倒せればとりあえず今この場にいるのがあと二人になると思ったからだ。そうなれば下で待つ二人をそこまで意識すること無く戦うことが出来たのだが……。

 

 もしかして最初に倒した奴よりもコイツ等の方が強いんじゃないのか?


 足を止めること無くそんなことを一瞬考えたが、とりあえず二階に辿り着くことが出来た。

 チラッと周りを見ると、やはり最初に魔術を当てた奴は今も意識を失っているようだ。

 そして残る敵は、杖を持った奴が二人に、腰に剣をぶら下げ少し大きめの盾を持った奴が二人と…。


 まあ少し驚かされたが、四人ならそこまで警戒することもないだろうと思った俺は、警戒を解くことはせず構えたままで声をかけたのだ。



「なあ、そこでノビてる奴がお前らのリーダーじゃねえのかよ?」

「………。」

「今の一瞬の事で何がわかるってわけじゃねえけどさ、お前らの方がそこの奴より強いんじゃねえの?」

「………。」

「っておい!てめえら聞いてんのかよ!?」

「………。」



 話し掛けてみたのだが誰も俺の問いに返事をしない。こちらの声が聞こえてないとは思えないし、さっき魔術を唱える時に杖を持った奴等の声も聞いてるので話せないとも思えないし……。単純に無視をしているだけなのか……?


 まあこちらとしても少し気になって聞いただけで、そこまで興味のあることじゃないので別に知らなくても良いのだが……何かムカつくな……。


 すると、こちらの問いに全く反応のなかった杖を持った二人が突然声を発したのだ。



「「火球ファイアボール!」」

「なっ!?」

「えっ!?」

「……ポミこっち!」



 再び魔術を唱えたのだが、それは俺に向けてではなく下にいたポミに向けてだった。

 突然のことに俺は勿論、攻撃をされたポミ本人も反応することが出来ていない。


 しかし周りを誰よりも注意して見ていたのか、ホミがポミの腕を勢い良く引っ張り、寸前まで迫っていた炎をギリギリ回避することが出来たのだ。



「あ、ありがとうホミ…。」

「……お礼を言われることなんてしてないよ。それよりも……次に備えてポミ。」



 倒れた体を起こして声を掛け合う二人を見て安心した。どうやら二人とも無事のようだ。

 それにしても今のタイミングで俺ではなく下に居る二人を狙うとは思いもしなかった。


 これは悠長に話をしている場合じゃねえな。


 俺は気持ちを切り替えて目の前に居る奴等を睨みつけた。

 そしてここは確実に一人づつ倒していこうと思い、一番近くに居る杖を持った奴に飛び掛かったのだ。


 するとここでまたしても邪魔が入る。



「まずはてめぇからだ!」

火球ファイアボール!」

「なっ!?……ってこれじゃ止まらねえんだよオラァ!」

「………。」



 俺が動き出そうとした瞬間、こちらに向けてもう一人が炎を撃ってきたのだ。

 しかし俺は、こちらに向かい飛んできた炎を左手で払うと一足飛びで近づき右拳を振るった。俺が狙いを定めた奴は反応出来ていない。

 これでまずは一人倒したと思い、次に狙う奴を考えていたのだが俺の拳に伝わる感触がおかしい。どう考えても人のものではなかった。するとそこには、いつの間に盾を持った男が前に立ち俺の攻撃を防いでいたのだ。


 俺は直ぐに拳を引くと、その場から少し後ろに下がった。


 どうやら俺が思っている以上に目の前の奴等は強く、先に進むのは簡単ではないようだった。

 


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