第三十八話
本日二話目の更新です。
明日からはこれまで明け方に更新していたのを夜に更新していこうと思います。
皆様どうぞよろしくお願い致します。
俺は今、結局ツヴァイと名乗った男に言われた屋敷の前に来ていた。
「こ、ここがお探しの場所かと思います……」
「そうなんだろうな。助かったよ。」
「い、いえ!それで私は………」
「ん?あぁ、もう行っていいぞ。」
実はここに辿り着くまでに予想通りと言うか何度も絡まれたのだ。こっちとしては聞きたいことがあり人を探していたので好都合と言えばそうなのだが、ここの奴等はとにかく人の話を聞かなかった。
いや、自分も似たような者って自覚はあるのだが絡まれる度に毎回同じやり取りをした。そしてとりあえず叩きのめしてこっちの用件を尋ねても全て無駄に終わる。そんなことを繰り返している内に一つ思い出したのだ。
俺の目的の場所は、このエリアの外れにある古びた屋敷と言われたことを。
正直言われたときは全く聞く気のなかった言葉も、今はもうそれに賭けてみるのも有りかなと思うほど無駄な時間を過ごしていたのだ。
だがこのまま闇雲に探すよりはマシだと思った俺はツヴァイの言葉に乗ってみることにした。そして、そうと決めれば次にとる行動も簡単だ
その次の行動とは、先程までと同じようにとりあえずこの辺をブラブラする。少し歩く路地を変えるだけでこの辺の奴等は初めて見る顔の俺に必ずと言っていいレベルで絡んでくるのだ。
あとはその絡んできた奴を問答無用でぶっ飛ばし教えられた屋敷まで案内させる。恐らくこれが一番手っ取り早く効率的だと考えた俺は直ぐ実行に移った。
「おいおい兄ちゃん!いったいここを何処だと思って歩いてんだ?痛い目にあいたくなかったら……」
「それ以上しゃべんな!」
「……ぴひゃ!」
予想通り路地を変えたとたん絡まれた。だがこれまでと違い絡んできた奴と会話をするつもりのない俺は、相手が話し終わる前に飛びかかると軽く痛め付けたのだ。そして相手の戦意がなくなる程度に痛めつけ、こちらの要求を伝えた。
「は、はい……。その場所でしたら多分知ってます……。」
「そっかそっか。んじゃそこまで案内しろ!」
「あ、案内ですか……。わかりました……」
こうして俺は不必要に迷うことなく目的の屋敷まで辿り着いたのだ。
俺はここまで道案内させた男を解放して、一人で目的の屋敷を眺めていた。
外から見る感じ確かに見事な廃墟だ。人がここで生活しているとは思えない寂れぐあいだった。しかし注意深く観察していると、時折人影のようなものも見えている。
中に捕まっている人が本当に居るのなら、あまり無茶なことも出来ないと思いしばらく外から眺め良い案が浮かばないかと考えていたが……やっぱり無理だった。
とにかくここでウロウロしても何も浮かばない以上、とりあえず中に入ってみることにしたのだ。
俺は正面に戻り門を開ける。周りを見渡すと、屋敷を囲むように庭が広がっているがそこに見張りのような者は居ないようだ。
仮にラルさんの言う場所が本当にここなら警備ガバガバ過ぎねえか?やっぱりツヴァイとか言う男に騙されちまったのかな?
そんなことを考えつつ、まずは屋敷を囲む庭を散策することにした。誰も住んでいない為か庭の草木は荒れ放題だ。
俺は多少慎重になりながら人の気配がないか建物の中を覗きながらゆっくりと歩みを進めた。
すると建物の一階に武器を携えた男の姿を数名確認することが出来たのだ。とりあえず建物の周りには誰もいないようで、中にしか人は居ない。
そして確認できた男達は全て人相が悪く武器を持っていると。
さすがにこれだけで目的の場所がここだと断定することは出来ないな……。もしかしたら誰も住まなくなった場所を、人相は悪いが気の合う奴等で愉しく過ごしてるだけかもしれねえし……。
人が居るのは確認できたが、外とは違い乗り込んでここじゃなかったです、場所が違いましたで全員ぶっとばす(別に揉める必要はないのだが)のも多少気が引けた俺は扉の前でどうするか悩んでいた。
「てめえここで何してる!?」
「んあ?」
すると突然背後から叫び声が聞こえてきたのだ。
振り返ると先ほど中で確認した男達と同じような、世紀末風チンピラスタイルの男が腰から刃物を抜き俺を威嚇していた。
問答無用で殴り飛ばしても良かったが、とりあえずここは対話を試みることにしたのだ。
「え~っと……行きたい場所があってよ、そこを探してたら道に迷っちまってさ…」
「うそつけぇ~!てめぇいったいなにものだぁ~!?ぶっ殺すぞぉ~!」
「いや……だからさ、もしかしたらここかも知れねえって教えられてここに来たんだけど」
「怪しい奴めぇ!ここがどこだかわかってんのかぁ~!ぶっ殺すぞぉ~!」
「とりあえず俺の話を……」
「ヒャッハ~!てめえぶっ殺すぞぉ~!」
「さっきからぶっ殺すぶっ殺すうるせえんだよ!殺れるもんなら殺ってみやがれ!……あっ」
対話を試みるも失敗に終わってしまった……。
俺は全く話を聞かない男にイラついてしまい、胸ぐらを掴むとそのまま扉に叩きつけるように投げ飛ばしてしまったのだ。
これはさすがにやっちまったな~。条件反射に近いレベルでぶん投げちまったけどもう仕方ねえか…。元々考えて行動するなんて俺には向いてないし、出たとこ勝負でやるしかねえよな。
男を投げ飛ばし、扉をぶち破る形で俺は中に足を踏み入れた。
当然最初から中に居た奴等は騒ぎを聞き付け入り口付近に集まってきたのだ。
ざっと数えただけでも十人以上は確認できる。
するとその中の一人が刃物を構えながら俺に尋ねてきたのだ。
「てめえ何もんだ!?ここに何しに来やがった!?」
「いや、そのやり取りもううんざりだわ…。それより、てめぇらこそこんなところで集まって何してんだよ?」
「てめえ状況わかってしゃべってんのか!?質問してるのはこっちだぁ!さっさと答えやがれ!」
「オレがここに来た理由か……。そうだな……暇潰しだよ。てめぇ等みたいなのを殴りに来ただけだ。」
さすがに俺がこの場所に来た今は理由を明かすわけにはいかない。もしこの場所にオレが探している人物が本当に捕らえられているのなら、その人間を人質にとられる可能性があるからだ。
なのでここは適当なことを言ってはぐらかす必要があった。
ただその理由がさすがに適当すぎたのか、周りの男達の反応も様々だった。自分達が舐められたと怒る者や世間知らずのバカが身の程をわきまえずここに足を踏み入れたと笑うものなど。
まあ俺としては目的さえ悟られなければ何でも良かったので、周りの奴等の反応もたいして気にならなかった。
すると再び、最初に話しかけてきたであろう男がこちらに話しかけてきたのだ。
「暇潰しで俺達を殴りに来たってか~。てめえ…たいした自信だな。まあ良いだろう、ここに足を踏み入れたことを後悔させてやる。」
どうやらこの男も激昂している側ではなく嘲笑う側の男だった。そうとわかれば俺はとりあえず会話に乗ることにした。
「どう後悔させてくれるのかわからねえけどよ、いいからさっさと殺ろうぜ。これだけ頭悪そうなのが雁首揃えて口喧嘩が得意ってわけじゃねえだろ?」
「てめえ…口だけは一人前だな。良いだろう…てめえらやっちまえ!」
一人の男の号令と共に、周りに居た奴等は俺に襲いかかってきたのだった。




