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第二十六話






 俺は今日も二人の家に魔術を教わりに来ていた。




「……そうそう、ユージその調子。」

「なるほどな。何となくだけどコツみたいなもんがわかってきた気がするぞ。」



 ただいつもと少し違うのはポミは用事があるとかで今日ここにはホミしかいない。


 考えてみたらホミと二人ってのは初めてだった。

 最初は普段から口数も少なく何を考えているのかイマイチ読めないホミと二人で大丈夫なのか多少の不安もあったが、いざ始めてみると正直ポミより分かりやすい。


 口数が少ない分的確に俺の悪い部分を指摘してくれるし、何よりホミとは言い合いにならないので無駄な時間を過ごすことがないからだ。


 別にポミが悪い訳じゃないのは十分わかってはいるのだが、どうしてもお互い口が悪いせいなのか、ことある毎に衝突して中々訓練が前に進まない。

 まあこんなことをポミ本人に言うとまたケンカになるのが目に見えているのでさすがにこれはいわないけどな。


 そしてここまで大したこと問題もなくそろそろ日課も終わりそうなので最後にもうひと頑張りしようと体にスピリトを集中させているとここでポミが帰ってきたのだ。



「ただいま~!ホミ大丈夫?一人でユージの相手大変だったでしょ?」

「……おかえりポミ。んーん、ユージ真面目に訓練やってたよ。」

「へ~……。普段からそれぐらいやってくれたら私も苦労しないのに。」



 こいつは帰ってきて早々憎まれ口かよ…。

 まあここで言い返すといつもと同じになるだけなので俺は体の力を抜き戻ってきたポミに声をかけた。



「おう、おかえり。遅かったじゃねえか。今日の日課そろそろ終わりそうだぞ。」

「今日は素直に言うこと聞いてたみたいね。明日からもその調子でやってくれると私の苦労も減るのよね~。」

「俺はいつも素直に言うこと聞いてるぞ?あれだな、教えてくれる人の差じゃね?」

「それどう言う意味よ!?まるで私の教え方が下手って言ってるように聞こえるんだけど!?」

「別にそんな風にはいってねえよ。ただホミの教え方は分かりやすかったとは思うけどな。」



 やっぱり黙ってることができなかった俺…。

 すると暫く睨み合う俺達を見兼ねたのか、ホミが今日のことをポミに尋ねた。



「……冒険者協会どうだった?何か良い依頼はあったの?」



 声をかけられて我に返ったのか、こちらから顔を反らしホミを見ると首を横に振ったのだ。



「いつもと変わらず村のお手伝いぐらいしかなかったわね。まあ村にとっては平和で良いことなんでしょうけど。ねえホミ、たまには王都まで行ってみる?」

「……私は別に構わないよ。でも、父様も居ないのに私達まで村を空けて大丈夫かな?」

「そこなのよね~。元百鬼夜行の残党は捕まえたから多分大丈夫だと思うんだけど……あっ。」



 ホミと今後のことを話している途中、ポミは何か思い出したようで再び俺に向き直った。




「そう言えばユージ、冒険者協会のお姉さんがなるべく早く来てほしいって言ってたわよ。」

「いや、なるべく早くって言われたなら戻ってきた時点でさっさと教えてくれよ。」

「細かいことをイチイチ煩いわね!ちょっと忘れてただけじゃない!むしろ思い出したことを感謝してもらいたいわね!」




 この野郎……。

 少し……いや、かなりイラッとしたがここで言い返しても無駄な時間が過ぎるだけだ。

 そう考えた俺はホミに今日の礼を言い冒険者協会に向かうことにした。










「ようこそ冒険者協会へ。あっ、ユージ様!お待ちしておりました!」

「よう!ポミに言われてきたんだけど一体どうしたんだ?」




 冒険者協会に入ると俺を笑顔で迎えてくれた受付の女性に呼んだ理由を尋ねた。




「はい、本日お呼び立てしたのは昇級の件でユージ様にお話がありまして…。」

「あぁ~、それでどうなったんだ?」

「それがですね……。あのですね……。」




 女性は俺の問いにすぐ答えることはなく何か言いにくそうにしている。

 呼ばれたから来たのに一体なんなんだ?

 とりあえず昇級の件ってのはわかったが、俺が黙って次の言葉を待っていても女性はそれ以上なかなか口を開こうとしない。


 そして暫しの沈黙のあと、俺も徐々にイライラし始めた時突然目の前の女性が頭を下げたのだ。




「申し訳ございません!ユージ様、王都アシミノークにある冒険者協会に行っていただけないでしょうか!?」

「はぁ?何で俺がそんなところに行かなきゃなんねえんだよ?つーか、そもそも王都アシミノークってどこだよ……?」




 全く状況が理解できなかった俺は、一先ずイライラを抑えて女性の話を聞くことにした。


 女性が言うには、報酬に関しては元百鬼夜行の幹部が捕まっている以上当然支払われるが、それを倒したのが等級最下位の人間だと言うのがどうも信じてもらえないらしい。


 本来なら中級冒険者数人でも危険な依頼を、駆け出しがそれも一人で倒したなんて前代未聞過ぎると女性は言葉を続けた。


 そして王都の冒険者協会が言うには仮にそんな冒険者がいるならこちらに出向かせろと、そして何らかのテストを受けて実力を示せとか。



 なるほどな。まあ言っていることは別におかしいとは思わないし、寧ろ当たり前と言えば当たり前かもしれない。


 ただ……正直かなり面倒臭い。あと何でそんな顔も知らない奴に言われてこっちが行かなければならないんだ?

 実力が知りたければそっちが来れば良いだろうと言いたいぐらいだ。


 だけどそんなことを目の前で恐縮している女性に言うのも筋違いすぎるので俺はとりあえずどうするか考えていた。


 知らない奴に指定した場所まで来いと言われた時点でかなり行く気はなくなってるんだけど…。



「話は聞かせてもらったわ!仕方がないから私達も王都まで付いていってあげる!」

「……私達も一緒に行く。」



 すると突然ポミとホミの二人が冒険者協会に現れこんなことを言い出した。


 いや、まだ誰も行くなんて言ってないし…。

 するとポミは俺に近づくと何故か自信満々の笑みを浮かべている。



「あんた一人じゃ道中迷うかもしれないし、王都に着いても私たちが居れば安心でしょ?」

「あのよ、何で勝手に行く方向で話進めてんだよ?」

「はぁ?むしろ何で行かないなんて選択肢があるわけ!?」



 それは俺の自由だろうと反論するも今度はホミが俺を諭してくる。



「……王都に行って実力を見せれば今よりもっと上の依頼も受けれるようになるよ?お金稼ぐなら等級上げないとしんどい。」

「それは確かにそうだな。」



 言われてみれば元々この話は等級を上げるって事だったよな。

 面倒臭いのと、王都まで来いと言われたことに腹が立ち本題を忘れかけていた。


 見ると受付の女性も申し訳なさそうにこちらを見ている。

 多分ここで俺が王都に行かないと、この人も困るのだろう。


 仕方無いか……。



「わかったよ。その王都って場所の冒険者協会に行けば良いんだな?」

「行っていただけますか!?ありがとうございます!」

「とりあえず人の事を呼びつけやがったヤロウの面でも拝みに行くとするよ。」



 最後の言葉を聞き若干複雑そうな表情を浮かべるも、俺が王都に行く事を告げると女性は何度も頭を下げた。

 


 そして何故か横にいる二人は嬉しそうな顔をしている。



「ホミ、久し振りの王都楽しみだね!」

「……うん、楽しみ。」



 完全に遊びに行くつもりの二人は置いといて俺は冒険者協会を後にしたのだった。

 

 


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