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第二十三話







 俺は今ポミとホミの住む家に居た。


 昨日二人を連れて村に帰ると村の人たちもよほど心配だったのか半数近くが村の入り口付近で俺達の帰りを待っていたのだ。そして三人ともが無事村に辿り着くと村長を含め村の人は何度も俺に頭を下げ感謝してた。


 俺としては特別なことをしたつもりはなかったがそこまで感謝されると逆にこっちが困るってのを体験させられたのだ。


 ただいつまでも感謝され続けるこの状況に少し疲れ始めた俺は村長に飯の催促をしてこの場を離れることにした。するとそこから歩きだそうとする俺の元へ近付いてくる人がいる。見ると冒険者協会の女性だった。


 どうやら報酬の事を伝えに来たようだ。話を聞くと明後日以降に協会に行けば金を渡してもらえるとか。ただ等級に関しては今回の事は少し特殊で自分の一存では決められないから王都にある協会からの指示を待つことになるらしい。


 まあ元々報酬目当てで行ったわけじゃないので別にこの事に関して異論はなかった。そして今度こそ村長の家へ向かおうと歩き始めるとまた声をかけられたのだ。




「ユージ!あんた明日アタシ達の家に来なさい!」

「はぁ?なんで俺がお前達の家に行かなきゃなんねぇんだよ?」

「なっ!?い、良いから何も言わず黙ってくればいいの!」

「……素直に言えば言い。今日のお礼とユージが気になっていた魔術の事を教えたいと…。」

「お、お礼なんてバカなこと言わないでよ!?ただちょっと魔術の事を教えてあげても良いんだってさ!」



 それだけ言うとこちらからポミは顔を背ける。横にいるホミを見ると俺を見て頷いていたのでとりあえずはその言葉に甘えることにした。


 そして翌日、魔術を教わる為に二人の家に出向いたのだ。






「……ってことなの!理解した!?」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。そう一気に説明されても頭が追い付かねえっての!」

「はぁ~!?なんで今ので理解できないのよ!あんたバカじゃないの!」

「うるせえな!だから待てって言ってんだろ!少し整理させろってんだ!」




 頭の悪い俺に詰め込むように説明してもそんなすぐに理解なんて出来るはずがない…。


 とにかく一度整理してみることにしよう。


 まずは、魔術ってのは大量のスピリトが必要になるってのは村長からも聞いていたのでわかっていた。そして普通の人は魔術を使えるほどのスピリトがないのでそこは訓練をして最大値を増やさなければならないと。

 その訓練方とは自分が今使える物、最初は魔需品だったり練習用のそこまでスピリトを必要としない魔術品などをスピリトがなくなるまで使い続けることらしいのだ。

 要するに心版の筋トレみたいなもんだな。


 ただ魔需品で訓練するのは効率が悪すぎるし、練習用と言っても魔術品は個人で所有するには値段が高すぎるらしい。

 なので通常は学校みたいな専門的な場所にあるものを使い訓練をするのだが、なぜかこの家にはその練習用の魔術品がある。


 聞けばそれは二人の父親の物で幼少期からこれを使っていたので魔術が使えるようになったとか。

 正直それだけ高価な物を買えるほど裕福そうな家にも見えないのだが、さすがにこれは余計な一言だと思うので胸の内に閉まっておくことにした。


 まあこの品物に関しては機会があれば触らせてもらうとして……あとなんだっけ?




「なあ、スピリトの訓練方法は理解したんだけどその次何の話をしてたっけか?」

「はあ~…、まあいいわ。訓練でスピリトの最大値を底上げしたら次は本命の魔術の話に決まってるでしょ。」

「そりゃそうだな。すまねえがもう一回頼むわ。」

「わかったわよ…。まずそもそも魔術って言うのは実際誰にでも使えるものなのよ。ただそれを使うためには二つの条件があるの。まず一つ目はスピリトの問題ね。通常生まれてただ普通の生活をしていただけじゃ魔術を使うほどのスピリトはないの。それをさっき説明した方法で鍛えてまず魔術を使えるようになるまでスピリトの最大値を増やすのよ。ただし、使う魔術によって消耗するスピリトの量が違うから一概にどれだけ鍛えてれば言いとは言えないけど、高位の魔術になればなるほど消耗も激しいしそこまで難しくないものも何度も使いたいのなら常日頃からスピリトは鍛えておいたほうがいいわね。ここまでは理解した?」




 俺は先程よりもゆっくりと話すポミの話を聞いていた。

 そしてポミは自分の問いかけに俺が黙って首を縦に振るのを見て話を続けたのだ。





「そしてもう一つの問題。これはその魔術の適正が本人にあるかどうかで決まるの。」

「適正か…。」

「そう、適正ね。誰もがスピリトさえあれば好きな魔術を使える訳じゃなくてその人の性格や性質で大体決まるのよ。あと両親からの遺伝もあるわね。」

「じゃあよ、その適正がなければ全く使えないのかよ?」

「残念だけどそうね。まあそれを補うために魔術品って物があるのよ。あれはスピリトさえあればその人に適正のない魔術だって使える便利な物だからね。」




 なるほどな。ちなみに二人の得意な魔術を聞いてみると、ポミは風を操る魔術でホミは鉱山でも見せた治癒の魔術を得意としているらしい。

 他の魔術も使えないことはないが、父親にまず自分の得意な魔術を鍛えろと教わったとか。



 ここまでの説明は理解した。後はスピリトがあればどうやって魔術を使うのか気になったので聞いてみることにしたのだ。




「でもよ、自分が何の魔術が使えるのかなんてどうやって調べるんだよ?」

「それはもう色々試すしかないわね。私たちの場合は父様が風の魔術で母様が治癒の魔術を得意としてたからそれを最初に試したのよ。」

「なるほどな。それでポミは風でホミは治癒が得意なのか。ってことはよ、その逆もお前ら使えるのか?」




 俺の問いにポミは首を横に振った。




「それが逆の才能はお互いなかったみたいでね。でもそれ以外に何が使えるかは父様に言われて色々試したから何となくだけど把握はしているわよ。」




 そこは同じ姉妹でも全く同じって訳じゃないんだな。

 



「適正とスピリトさえあれば思い描いた魔術は使えるからとにかく私が言えることは色々試してみればってことだけね。」

「ん?思い描く?」

「例えば火の魔術を使いたければ火を想像すれば良いし水なら水ね。そこは人それぞれだから個人差はあるし、他人のを見てイメージを固めるのも言いと思うわ。私やホミには父親と母様っていうお手本が居たからそこは楽だったけどね。」




 想像力も大事ってことか。まあカッコいいとは思うが今すぐ使いたいってわけじゃないしその辺はのんびりやりゃいいかな。


 一通り話を聞いた俺はとりあえずポミの話も大体理解できたので二人に礼を言いここを出ようとした。


 だがポミは出ていこうとする俺を引き留めたのだ。




「ちょっと待ちなさいよ!この私にここまで説明させたんだから少しは練習用の魔術品を使ってみようとかってないの!?」

「ん~?使えたらスゲー便利だろうとは思うんだけど別に今すぐその為の訓練をしようって気は…。」

「あんたそれ本気で言ってんの!?普通じゃ使えない物がここにはあって教えてくれる人が二人もいるのよ?こんな贅沢な環境で何もしないで帰るなんてバカじゃないの!?」




 教えたことをとりあえずやってみろってことかよ…。

 正直に言うと面倒臭いんだよな。でもまぁ確かにポミの言うようにこんな機会が滅多にないのなら一度ぐらい試しても言いのかもしれないな。


 気がつくと俺が返事をする前にポミとホミは家から出ようとしていた。


 俺は言うことを聞かない限り家に帰らしてくれそうにも無かったので、仕方なくポミに付き合うため家から出たのだった。

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