第二十話
おはようございます。昨日初めての評価をいただきテンション爆上がり中のともあやです!これからも一人でも多くの方に評価やブクマ登録していただけるよう自分なりにですが頑張っていこうと思いますので、これからもユージ共々皆様どうぞ宜しくお願い致します。
とりあえず村長に頼まれていた村に住む二人の女性を助けるって事は考えなくて良くなった。
どうやら入れ違いで俺の方が先に来てしまったようだ。
もしも今着いたところで、ここに来るまでの間に居た奴は全員俺がぶっ飛ばしたから特に問題もないだろう。
あとの問題はここを根城にしている元百鬼夜行のコイツ等をこの鉱山から全員追い出すって事だけだった。
ただこれについては深く考える必要はない。
「てめえで10人目だ!大人しく寝てやがれ!」
「なっ!?」
何故なら出会う奴全員片っ端からぶっ飛ばして奥に進めば良いだけだからだ。
今ので確か十人か。しかし全然歯応えが無いんだけど本当にコイツ等が元百鬼夜行なんだよな…?
でもここにくる間、何人かに聞いたら全員がハッキリと口には出さないものの自分達は元百鬼夜行って認めてたし…。
まあこれ以上は考えるだけ無駄なので俺は奥へと続く道をとにかく進むことにした。
しかし俺が何も考えずのんびり歩いていると、俺の進んでいる方向から声が響き聞こえてきたのだ!
「………あんたの仲間になんてならないんだってさ!」
ん?えっ…?今のって……。女性の声?
もしかして元百鬼夜行にも女性がいるのかと思ったが、どう考えても今のは争っている感じだった。
「くそっ!話が違うじゃねえか!」
俺はとにかく声の方向に急ぎ駆け出したのだ。
しかしどう言うことなんだ?俺以外誰も来ていなかったんじゃなかったのか?
ここに来る途中でぶっ飛ばした奴の言葉が嘘だったとも思えない。
まずあの時のアイツが嘘をついている様には見えなかった。それに入り口からここまで真っ直ぐ歩いてきたが、鉱山の中に住み着いた奴等に俺が来る直前他の誰かに襲撃されたような緊張感が無かったからだ。
でもそれならさっきの声はいったい誰なんだろう…?
いや、ごちゃごちゃ考えるのはやめよう。とにかく行けばわかる事だ。
すると程なくして薄暗い通路の先が明るくなっていた。
広い場所にでも出るのかと思い目を凝らし前を見ると、人が一人倒れているように見える。
そして近づくにつれてその倒れているのが誰なのかわかった。
以前、俺が村に行く途中で人の話を全く聞かず問答無用で襲い掛かってきた女性二人組の一人だと気がついたのだ。
マジか…。まさか手遅れって事はないよな…。
俺は、急いで倒れる女性に駆け寄ると口元に手を当てた。
僅かにだが呼吸はしているし脈もある。どうやら女性は気を失っているだけだ。
とりあえず細かい事はわからないが今はまだ生きている事に安心した。
そしてもう一人は何処に居るのかと広場の方に目をやると、大柄な男が片手に剣を握り締め、座り込む女性にゆっくりと近づいている。
その座り込む女性をよく見ると、目の前で倒れている女性と一緒に居たやつだった。
さすがにこれ以上笑えない!
俺はとにかく大柄な男に向かい走った。すると男は座る女性に向けて剣を振りかぶったのだ。
間に合え……そう願いながら男に向かい飛び上がると、剣を振り下ろす前にその無防備な背中に蹴りを食らわすことができた。
「ギリギリ間に合ったぞオラァ!!!」
間一髪俺の蹴りの方が早かった。俺の蹴りを食らった男は、派手に壁際まで飛んでいったのだ。
しかしさすがに今のは肝が冷えた。村長に頼まれた子が目の前で殺されましたじゃ寝覚めが悪すぎる。
俺はとにかく二人の生存を確認できたのでホッとしていた。
すると後ろから、か細い声が聞こえてくる。
「……え?一体何が……?私生きてるの?違う、あんた誰?そうだホミ。私ホミのところに行かなくちゃ……。あれ……体動かない……。」
今の状況に頭が追い付いていないのか少しパニックになっている。それにどうやら腰が抜けたのか自力で立つことができない様子だ。
「おい!ちょっと落ち着け!」
「えっ……?あ、あんた誰なのよ!?」
「いいから落ち着けっての!とりあえず手短に説明すんぞ!俺は村長に言われてお前らを助けに来た!それとホミって言うのか?お前の仲間は生きてるよ。あっちで気絶してるだけだ。」
とりあえず目の前の女性に、俺が誰なのかって事と向こうで気絶してるが仲間はまだ生きていることを伝えた。
すると目の前の女性は俺の言葉を聞くとポロポロと涙を溢している。
「良かったぁ~。ホミ生きてたんだってさぁ~。」
その姿を見た俺は、ここに来た意味が少しはあったんだと感じていた。
だがすぐに何かを思い出したのか、女性は涙を拭うと突然俺の服を引っ張り出したのだ。
「違う…あの男!さっきまで私の前に居た男はどうしたの!?」
「ん?俺が蹴り飛ばしてあそこにいるぞ?」
「い、今のうちに逃げなきゃ!アイツが起きる前にここから逃げなきゃあんた殺されちゃう!」
俺が殺される?ここに来るまでの奴等を思い返すとそこまで凄い奴とは思えない。
それに、逃げろと言われて俺が逃げるとかそれこそ考えられなかった。寧ろここに来るまで歯応えのある奴と出会っていない俺は、そこまで強いなら少し戦ってみたいと思い始めていた。
とにかく俺は未だ起き上がらない男の方じっと見ていると、動く気のないことを察したのか女性は慌てた様子で少し声を荒げたのだ。
「ねえ!ちょっと聞いてるの!?早くここから逃げないと本当にヤバイんだから!アイツは別格なのよ!今は偶然が重なったのかまだ動かないけどあんたなんて一瞬で殺されちゃうんだから!だから早くここから逃げて!」
「聞こえてるっての。てかそんなに強そうに見えないんだけどな~。まあでも安心して見てろよ。あんな奴俺がぶっ飛ばしてやんよ。」
「あんたバカなの!?あんたがここまでどうやって来たのか知らないけど運だけで勝てる相手じゃないのよ!?私とホミでも全く歯が立たなかったのにタルト級のあんたじゃ絶対に無理よ!良いからさっさとホミを連れてここから逃げてよ!」
なんでコイツ俺の等級知ってんだ?あぁー、これのせいか。
どうやら女性は、俺が首からぶら下げているプレートを見て最低の等級だと知り身を案じてくれていたのだ。
しかし俺は逆にさっきの女性の言葉を聞いて意地でも助けたくなってきた。
自分の事はここに置いて行っていいから、急いで俺とあの子だけでも逃げろってか。そんな仲間思いの奴は嫌いじゃねえな。正直そこまで気乗りしなかったが今は結構やる気出てきたぞ。
だが徐々にやる気になってきた俺とは反対に目の前で座る女性はどんどん絶望感を漂わせている。
「お願いだから…。お願いだからあなたとホミだけでも逃げてって言ってるんだってさ!」
「ちょっと待てよ……。人の事を一度ならず二度も蹴り飛ばしといて、お前等ここから逃げれると思っているのかよ!?」
「あっ……。だから急いでっていったのに……。」
先程まで壁際で大の字になっていた男がいつの間にか起き上がりこちらを睨み付けていた。
まあ、あれだけ時間あってこんなに近くで騒いでたら起きるよな。寧ろ起きるの遅くね?
男は自分の足元に落ちた剣を拾うと、俺達の居る場所から少し離れた入り口の方に歩き始めた。
そして入り口を背にし、俺達と向き合うとこちらに向かって真っ直ぐ走り始めたのだ。
なるほど、そこまでコイツ頭悪くないんだな。
俺達に逃げられないように入り口を背にしたのだろうが、それは大きな勘違いだ。
何故なら始めから逃げる気なんて俺にはないのだから。
「一思いには殺したりはしねえよ!まずはその生意気な足から斬り落としてやる!人の事を二度も蹴り飛ばしたことを死の間際まで後悔しろ!行くぞオラ!」
男は勝ち誇った笑みを浮かべながらこちらに近付くと、振り上げた剣を勢いよく下ろしたのだった。




