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第十四話






 俺は今村長に教えてもらった村の外れにある空家にいた。


 最近まで人が使っていたのか中は思った以上に綺麗でこれならすぐにでも生活ができそうだ。

 そう、今日からここが俺の仮住まいらしい。


 あの後も結構長く村長と話をし、こちらの世界の事と生活するために必要な最低限の知識を教えてもらった。



 そして今は、ずっと着ていた特攻服を脱ぎ村長に貰った服に着替えるとすぐベットに横になり今日一日の事を思い返している。

 正直自分から聞いたことが大半とはいえこんなに人の話を大人しく聞いたのは久し振りなのでかなり頭が疲れた気がする。





「え~っと……ここは別の世界、神様、魔術、魔物、各都市の名前に金の稼ぎ方と……あとなんだっけ……。」




 


 目を閉じ思い返すも後半疲労と睡魔でうろ覚えになっている。


 恐らく村長もそれを察したのか『続きはまた今度に致しましょう。今日はゆっくりお休みくだされ。』と話を終わらせ俺にここの場所を教え鍵を渡してくれた。



 しかし村長の話を聞き、どれも元の世界との違いに驚かされたがやっぱりその中でも




「魔術と魔物か………。」




 まあ魔術に関しては今のところ俺に全く関係ないことだし、村長の言う魔術品にしても結局普通の人には扱えなく何かしらの訓練が必要とのことだった。


 それよりも魔物の方に驚いた。いや、驚いたと言うか納得できなかったが正しいのかもしれない。


 この世界には人間以外の種族も生きているらしい。

 それに関してはここに来るまでの約一ヶ月近くをゴブ太と生活していたので十分理解していた。


 ただ基本的に魔物は知能が低く好戦的で人間と共存できる種はホンの一握りらしい。

 特にゴブリンはその代表格で、俺が生活を共にしたと言うと村長は冗談だと思い笑って話を流されたぐらいだ。


 村長の反応に納得できなかった俺はゴブ太との生活を詳細に説明するもそこだけは全く相手にされない。

 俺はそれ以上説明しても同じだと思い言うのをやめた。


 確かにゴブ太はバカだとは思ったけど…意外と人懐っこい部分もあったし十分人間と暮らせると思うんだけどな~。


 それともあいつが特別なのか?だから仲間からハブにされてるのか?

 等と意味のないこと考えてしまったぐらいだ。


 

 そういえばアイツ仲間とうまくやれたのかな……。

 ゴブリンの話になったので少しゴブ太の事を思い出すも、いつの間にか俺はそのまま眠りについていたのだった。





 翌日も俺は村長の家の家にいた。


 時計がない世界なので自分が何時まで寝ていたのかわからないが感覚的に昨日はスゴくゆっくり寝た気がする。



 時計がないってのも時間に縛られなくてある意味楽かもしれねえな。

 などベットに腰かけたまま思っていると腹の虫が鳴り出した。


 そういえば食料が何もないな。勿論金もないし……世話になりにいくか。


 そして、陽の昇り具合で恐らく自分が起きたのは昼前ぐらいだろうと勝手に決めた俺は飯をタカりに村長の家へと向かうことにしたのだ。




「村長悪いな!奥さんありがと!今日もスゲーうまかったよ!」

「ホッホッホッ、大したものは出せませんがいつでもお越しください。」

「いやー、ホント申し訳ない。これからも甘えることあると思うけどさっさと稼いで一人で飯食えるようにするからさ。」

「あまりご無理はせずに。それよりもユージ殿はこのあとお暇ですかな?」

「このあと?勿論予定なんてねえし暇だけど何でだよ?」




 そう尋ねると村長は村を案内すると言い出した。



 確かにいつまでここに住むか決めてはいないものの、近隣さんには挨拶しておいた方が良いよな。



 そして俺は村の人に挨拶しにいくために村長の家を出た。




「小さな村ですので人が一人増えたら目立ちますからな。ご面倒とは思いますがここは村のためにも…。」

「いやいや、新参者が挨拶しにいくのは当たり前のことだって。それよりも何から何までホント悪いな。」

「そう言ってもらえると村を預かる者として有難いですな。」




 家を出てすぐにそんな会話をしながら俺は村長と共に村の中をぶらぶらした。

 そして村長は出会った人全員に俺の事を紹介してくれたのだ。


 記憶喪失で可哀想な奴って説明つきで……。

 まあその方が多分都合が良いから特に問題はないんだけどよ…。


 それと村長と村の人達に会いに行き知ったことなのだが、実は村の人は俺の事を警戒していたらしい。

 ある日突然、特攻服着た金髪リーゼントが村の中をウロウロしてたら不振に思うし身構えるのも当然だよな。


 でも村長のお陰でその誤解も解けたみたいだしこれで俺も堂々と村の中を歩けるようになったわけだ。




「今いる村の者はこんなものですかな。これでユージ殿も正式に村の一員ですぞ。」

「ホント助かるよ。ところでさ、ちょっと思ったことがあるんだけどいいか?」

「はて、どうかしましたか?」

「村に若い奴少なくねえか?」




 村の人に挨拶したときに思っていたのだが、ほぼ全員が結構な歳でドルフを除けば若い奴が一人もいないのだ。


 村長は俺の問いに少し寂しそうにしながら自分の顎髭に手をやった。





「えぇ……何もない村ですからな。こんな辺鄙なところに外から人が来て村に住み着くことも殆どありませんし、若い者はもっと華やかで娯楽も多い王都に出てしまいました。残ったのは年寄りばかりで……唯一残っているドルフもいつここを出ていくことか…。」




 

 寂しそうに話す村長だが、村を出た奴等の気持ちの方がわかる気がする。

 別にここが悪いんじゃないとは思うけど、やっぱり俺がここで生まれ育っていたら都会に憧れたと思うしある程度の歳になれば村を出たんじゃないか…。


 村長の話を聞きそんなことを考えていると突然村長は何かを思い出したようで声をあげた。





「おっと忘れておりました!ユージ殿、まだ村に若いものが居りましたぞ!」

「お、おう。でも忘れてたってことは今は村に居ねえんだろ?」

「正確にはこの村からホンの少し離れた場所に住んでいる者達でしてな。ここから見えると思いますが……あそこの少し高台になっている場所の家ですな。」




 そう言うと村長は少し離れた場所にある家を指差した。



 確かにこの村の中って言うよりは少し離れた場所にあり、恐らくあそこからなら村の全体を見渡せるだろう。


 見てしまったからには無視もできないし、俺はあそこにも足を運ぶのかと村長に尋ねた。


 だが村長が言うにはあそこには父と娘二人が住んでいるが、その父は一ヶ月ほど前から旅に出ていてまだ戻ってきていないらしい。

 そして娘二人も夜には帰っているらしいが日中はどこかに出掛けているらしく、今から行っても恐らく無駄になるから後日で良いとのことだった。



 しかし……娘二人ね……。



 俺はこの村に来る前に女性二人組とひと悶着あったので、村長の言うあそこに住む娘二人が少し気になったのだ。


 でも行ったところで留守って話だし…ここで生活してればいつな会う日もあると思いその場をあとにした。



 これで一通り村の人達にも挨拶できたし、そこまで大きくない村なので何となくだが位置も把握できた。

 

 その後、俺は再び村長宅に行きその日も夕食を御馳走になり帰宅した。

 この日も慣れないことをしたせいかベットに横になると即落ちしていた。






 そして翌日、いつまでも村長にタカるわけにもいかないのでなにか働いた方がいいと思った俺は、昨日村長に連れられて顔だけは出したクエスト案内所に顔をだしたのだった。

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