青は藍より出でて藍より青し
空が青い
眩しいくらい
『わたし』の心とは対照的で、澄み渡るような、晴れ模様
今日は、楽しい日になるはずだった
ずっと、ずっと楽しみにしていた
何日も何日も、二人で考えた今日の予定
いつもよりも気持ちを込めて、あの人が綺麗と言ってくれた、思い出の服まで引っ張り出して
ああ
今日が土砂降りだったらよかったのに
雨に濡れた髪なら、今の空よりも青く、藍く、湿ったような、悲しい色だったら、この赤い服も、空悲しく見えなかったと思うのに
雨に濡れたのなら、あの青々としたエノコログサも、あんなに元気に頭をあげることなんてないだろうに
あの青空をかける燕も、くらい、土の巣へともぐり、残念そうな声で鳴くだろうに
『わたし』は今、藍色の中に溺れている
悲しい、悔しい。なによりも……寂しい
赤く錆びた街灯の色が、『わたし』の努力を笑ってる気がする
帰ろう……
でも……でも、あとすこし
あと少しだけ、待ってみるのもいいのかもしれない
青い空から、こんなにも悲しい藍色が生まれるのなら、藍色の気持ちも、そのうち青く晴れると思うから
「ごめん!」
――え
「遅くなってごめん!」
――ああ、ほら
『わたし』の心は、いま、晴れた