#2 察する気配
「「ん?」」
昼休みは残りわずかになった時、春原、秋山、紫苑の三人はほぼ同時に何かの気配を感じた。
「紫苑、どうしたの?」
「なんか誰かがいるような気がするんだよね……気のせいかなぁ……?」
崇史は何かを察したらしく、彼は彼女にそう告げる。
教室にいた紫苑は周囲を見回し始めていた。
「ふーん。俺には何も感じなかったんだけど……」
「ふーんって……あっ、そうそう。崇史はあの噂のこと知ってる?」
「知らないけど……何それ?」
「ある先生から聞いたんだけど、最近、この高校に怪盗ベルモンドが出没すると噂があるんだって」
「かいとうベルモンド?」
紫苑は聞いた情報を崇史に話すが、彼は何も知らず、首を傾げるだけであった。
*
同じ頃、職員室でも同じことが起きていた。
「なんか何かの気配を感じるのですが……」
「はい……実は私も誰かがいるような、見られているような気がするんですよね……」
「えっ、そうなんですか? 気のせいじゃないんですか?」
秋山と春原が不思議そうな表情をしながら、周囲を見回している中、福山はキョトンとしている模様。
それは実際には嘘か本当かどうかは分からない――――。
「そういえば、最近では怪盗ベルモンドがこの学校に出没しているという噂が出回っているんだよね」
「春原先生、その噂話は聞いたことがありますね」
「本当ですか?」
「ええ」
春原は思い出したように言いながら、弁当箱を片付け始めた。
彼はその噂話を知っている。
「ところで、福山先生は……?」
「たま、秋山先生。私、その話はたった今、はじめて聞きましたよ!?」
「そ、そうなの!?」
「未だに知らない人っているんですね!?」
一方の福山は崇史と同じように「怪盗ベルモンド騒動」については何も知らなかった。
「まぁ、福山先生もいずれは分かることだと思うよ……」
「本当?」
「……多分……」
彼女は信用できずに、何度も春原に問いかける。
彼女は福山の言ったことに対して、少し呆れているようだった。
2017/12/31 本投稿