#20 彼女らは生徒達と仲よく写真撮影に参加!?
そんな生徒達をよそに、大木の陰に隠れていた黒い帽子を被った人物は周囲を見回していた。
「あの三人がようやくきたな……さて、今回も始めさせていただこうか……」
その人物は誰にも聞こえないくらいの小声で言うが、その声を聞きつけたのか「みーつけた!」と女性の声が耳に入ってくる。
「こんにちは、キザ怪盗!」
「ちっ、ミサさんか……」
「舌打ちすることはないでしょう? ねえ、ニャンニャン刑事さんと変態仮面?」
「ああ」
「そうだぞ! ベルモンド!」
「……ニャンニャン刑事さんとニャンニャン仮面さん、いたのですか?」
「えっ、さっき謎の中略ミサに呼ばれて……って、変態仮面って呼ぶな!」
「同じくさっきからだが……」
その声はミサの声だった。
彼女の声を聞きつけたニャンニャン刑事とニャンニャン仮面がベルモンドと呼ばれる黒い帽子を被った人物に話しかける。
「本来の計画が……」
「「本来の計画が何?」」
「みなさん揃って何を仰るのですか!?」
「そのあとの発言が気になるからさ」
「べ、別になんでもありません!」
端からすると四人で仲よくかくれんぼをしているような雰囲気であるが、彼らは敵と味方という関係だ。
「そこの四名様、この高校に通う学生達と一緒に写真撮影はいかがですか? あとは生徒一人と先生二人待ちでちょうど時間が空いたので!」
「「いや、結構です!!」」
写真撮影を拒むミサ達だが、カメラマンから「そんなこと言わずに! 実は数枚撮ってしまいましたから!」とにこやかに言われてしまい、彼女らは目が点になっている。
「あ、謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサさん達らしき人じゃん!」
「さっき、お前らが話していた人達だよな?」
「そうだよ!」
「本物? 偽物?」
「……さあ……」
「さあって……」
「そうだ! カメラマンさんに頼んで……」
「謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサさん、ニャンニャン刑事さん、ニャンニャン仮面さんと写真を撮ってもらおうよ!」
「それ、いい!」
生徒達の弾んだ声が徐々に五人のところに近づいており、カメラマンは「学生さん達の声が聞こえてきましたね」と表情を崩さずに大木から覗いていた。
「カメラマンさん!」
「そこの白衣のお姉さん達と写真を撮りたいんですが……ってもしかして、うちらのことを察してくれたんですか?」
「そうじゃないんだけど、せっかくだからって言ったんですが、断られてしまいまして……」
「「えーっ!」」
彼女らはカメラマンから交渉を成立させてきたのかと思いきや、まさかの失敗。
それでも、生徒達は諦めることができなかった。
「ねえねえ、謎の中略ミサさん、ニャンニャン刑事さん、ニャンニャン仮面さん。一緒に写真を撮ろうよ!」
「そうだよ! 正義の味方と写真を撮るのってレアだからさ!」
「ほら! 学生さんもそう仰っているじゃないですか。さあさあ、記念に!」
何も疑いもなくトントン拍子で話が進んでいってしまっているが、ミサ達の心中では自分達が本人であることを彼女らだけ告げた方がいいのか否か悩んでいた。
しかし、ミサは「白衣のお姉さん」と嬉しかったため、この子達だけならという思いで口を開こうと深呼吸をする。
「みんな、こんにちは! 本物のオレはニャンニャン仮面だぞ!」
「お初にお目にかかります。ボクはニャンニャン刑事と申します。どうぞよろしく」
「ニャンニャン刑事さんも本物?」
「ええ。本物ですよ」
彼女はいきなり自己紹介をし始めるニャンニャン仮面に愕然とした表情を浮かべた。
それに続けてニャンニャン刑事も話し始めたため、ミサも自己紹介をやらざるを得ない状況ができてしまっている。
「わ、私は謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサ。彼らと同様、本物よ!」
「やっぱり!」
「三人とも、本物なんだ!」
「そうよ。私達はこの学校の平和のためにベルモンドと戦っているのよ! みんなは今日は楽しそうね。何をしてたの?」
「今日は卒業アルバムの写真撮影をしてました!」
「じゃあ、私達も混ぜてもらおうかしら」
「えっ、いいの!?」
「マジで!?」
「やったー!」
「ミサさん、いいんですか?」
「たまには周囲の要望にも応えないとね」
「そうですよね。ボクも構いません」
彼女はようやく生徒達に自己紹介をし、あれだけ拒んでいた写真撮影に応じることにしたので、ニャンニャン刑事も同意することにした。
カメラマンがミサ達と生徒達を必死に追ってシャッターを押していく。ミサ達の写真は卒業アルバムにたくさん載らないと願うしかない。
2020/12/31 本投稿




