#19 他人には分からない噂の人物達
突然、写真撮影を行っている最中である3年5組の生徒達の前に姿を現した謎の人物が三人。
もちろん、彼女らはミサ達のことは噂話では聞いたことがあるもののその存在は全く知らない。
三人は「政府とかの雇われ者」や「ファンタジー世界からやってきたのではないか」と思っているような存在である。
「あっ、あの人達は……」
「……誰?」
「も、もしかして……」
「うちらの学校で噂になっている謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサさんとニャンニャン刑事さんじゃない?」
「あとから職員玄関から出てくるのは……?」
「ニャンニャン仮面さんかな」
「ほ、本物? それとも、偽物?」
「分からない!」
「名前は先月のベルモンドが出た時に言ってたから、姿は誰も知らないと思うよ」
「え、ってことはあたし達が正義の味方だと思われる三人をはじめて肉眼で見ているということ?」
「そういうこと!」
「ヤバい!TwitterやInstagramに載せたい!」
「ねえねえ、男子も呼んでこよう!」
「そうだね」
「賛成!」
はじめは本物か否かを疑っていたミサ達の姿をはじめて見た生徒達は大興奮。
女子生徒の一部が同じクラスの男子生徒のところに駆けつけるが、現在は仲よく撮影中だったため、ミサ達がいることを伝えることができなかった。
*
「「ありがとうございました!」」
「二人とも、お疲れ様でした。ところで、クラスで男の子の人数が少なくて大変じゃないですか?」
撮影が終わり、二人の男子生徒はその場から離れようとした時、カメラマンから声をかけられた。
その少し離れたところに数名の女子生徒がおり、話しかけたい雰囲気を漂わせている。
まだ時間がかかりそうだと思われたのか彼女らは別の場所に向かっていた。
「確かに男子の人数が少なくて大変だと思うことはあります」
「女子は女子なりの元気があっていいような気がするんですよね」
「それは言えてる。俺達は元々は女子校だった高校に共学になるからと言われて入学したら男子があまりいない世界だった的な?」
「そうそう! それが高校最後のクラスって思うと面白くって!」
彼らは女子生徒が近くにいたことには気がついていたが、カメラマンから話しかけられたため、その質問に答え始める。
「なんだかんだ言って男の子二人でも楽しそうですね」
彼も二人の話にしっかり耳を傾け、相槌をしていた。
その光景はカメラマンからすると楽しそうに話している彼らは実の息子のように見える。
「はい。最初は女子の元気のよさに圧倒しましたし……」
「実は俺達は全然しゃべらなかったですしね……」
「女子が団結しているのに、自分らは別々の世界は寂しいので、な?」
「ああ」
「なんだかこのクラスになってはじめて本音を言ったような気がする!」
「確かに!」
「男の子同士もいろいろあるんですね。長くなってすみませんが、お話ができてよかったです。これからも仲よくね」
「「はい! ありがとうございました!」」
カメラマンと男子生徒は彼らに話しかけようとした女子生徒のところに向かった。
*
「ちょっと、写真撮影をしていた割には遅くない?」
「「ごめん!!」」
「カメラマンさんに捕まっちゃって……」
「話し込んでしまって……」
「男同士で話したいことがあったんだからいいんじゃない? 思う存分話したんでしょ?」
「ああ」
「そうだよ」
「君達が話し込んでいる間にあたし達は謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサさんやニャンニャン刑事さん、ニャンニャン仮面さんらしき人を見かけたんだからね!」
「マジかよ!?」
「俺も見たかったな……」
「今はいなさそうだし……今度、姿を現したら教えてあげるから!」
「ど、どうも」
「あ、ありがとう」
ようやく男子生徒にミサ達を目撃したことを伝えることができた女子生徒であった。
しかし、そのあと彼女らは三人と一緒にーー。
2020/08/20 本投稿




