表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

#1 穏やかなランチタイム

 それは四月のある日のことである。


 午前中の授業終了を告げるチャイムが校舎全体に鳴り響く。

 それと同時に人気のパンを求めるべく購買へ向かう者や親しい友人がいる教室へ行く者、中庭や音楽室などの教室以外で過ごす者と昼休みの過ごし方は様々だ。


 「3年5組」と書かれた表札に一人の男子生徒がやってくる。

 3年5組(そのクラス)に属している女子生徒が彼を誘導し、机を二つ並べて向かい合うように準備していた。

 おそらく彼女らは一組のカップルなのかもしれないと推測される。


「崇史、お弁当作ってきたよ」

「紫苑、ありがとう」


 紫苑と呼ばれた女子生徒は崇史と呼ばれた男子生徒にチェック柄のポーチに入った弁当を手渡した。


「じゃあ、食べよう?」

「ああ」

「「いただきます!」」


 彼らはポーチから弁当を取り出し、談笑を交えながら食べ始める。


「はい。崇史、口を開けて!」


 紫苑は崇史に箸で摘まれたタコウインナーを口に運ぼうとしていた。

 しかし、彼は「えっ!?」と思わず心の声を漏らし、こう続ける。


「ち、ちょっと! みんなに見られてるから恥ずかしいよ」


 今の崇史にとっては、これから彼女がやろうとしていることはあまりにも突然のことで顔を真っ赤にするくらい恥ずかしいことなのだ。

 紫苑は一旦、タコウインナー(それ)を弁当箱の蓋の上に置く。


「ふふっ、この照れ屋さん! みんなに見られてないと思うから大丈夫だよ。はい、あーん」

「あーん。ん、このタコウインナーは美味い!」

「本当? 嬉しい!」


 彼は仕方なく、口を開いた。

 再度彼女の箸に摘まれたタコウインナーを口に入れられ、ゆっくり咀嚼(そしゃく)する。

 それは相当美味しかったらしい。


「よかったぁ……また明日も作ってくるね」

「いつも感謝してるよ」


 彼らは昼食を食べ終えたあと、ゆっくり談笑を始めた。



 *



 同じ頃、職員室ではたくさんの教師達が昼食を食べたり、午後の授業の準備をしたりしていた。

 その時、二人の女性が話し合いをしながら、昼食を食べている。

 片方は黒髪の白衣を着た理科の先生だと思われる女性。

 もう片方はダークブラウンのロングヘアーでパーマをかけた少し背の高めの女性だ。


「ところで、たま(注・おそらく旧姓)のクラスは今日のロングホームルームは何やるの?」

「うーん……今日は何をやろうかなぁ? 三年生だから進路のことにしようかな。福山先生のクラスは?」

「実は私も何をやるか悩んでるんだ……たま、秋山先生がきたよ?」

「本当だ」


 彼女らの前に一人の男性が姿を現す。


「あっ、春原先生に福山先生はここにいたんですね。先ほどはなんの話をしていたんですか?」

「六限目のロングホームルームのことですね。今日は「進路について」話そうかなと」

「なるほど……その内容でいいんじゃないですか? もう彼女らも三年生なので、早く感じるなぁ……」

「本当に早いですよね」

「そうですね」


 彼らは自分の生徒達が入学してきた頃を思い出すかのように、しみじみと話していた。


 よって、春原と秋山が受け持つクラスを含め、三年生の全クラスのロングホームルームは進路についての話に決定した。

2017/11/10 本投稿

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

その他の作品はこちらから(シリーズ一覧に飛びます。)

cont_access.php?citi_cont_id=14134306&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ