#11 ニャンニャン仮面VSベルモンド
ベルモンドは男子トイレに行き、傷がついた顔を洗って出直すことにした。
そのあとはニャンニャン刑事かニャンニャン仮面のどちらかを校内を探索する。
「おっ! ベルモンド、ようやくきたか!」
彼は物理室の中を覗くと、ニャンニャン仮面が黒板に絵を描きながらハイテンションな声で出迎えた。
「長らくお待たせしてしまい、すみませんね?」
「いや、いいんだ。オレは気にしていないぞ!」
「先ほどまでは何をしていたのですか?」
ベルモンドに声をかけられた瞬間、彼は慌てて黒板に描いた絵を消している。
「下手くそだけど、絵を描いていた! さっき、きれいに消しちゃった!」
「あとでもう一度描いてください」
「嫌だ」
ニャンニャン仮面の絵に興味を示した彼だが、再度描いてもらうことをあっさりと拒否された。
ベルモンドは彼の腰のベルトにつけられた鞘にふと気づく。
「今度は日本刀の使い手のようですので、今回は余裕かもしれませんね……」
「ん? なんか言ったか?」
「いいえ、特には何も……さて、始めますよ?」
「よし、かかってこい!」
ニャンニャン仮面は日本刀を武器に、彼はミサとの戦いの時と同様に二丁拳銃。
先ほどは弾切れだった銃弾の予備を再度準備し、戦いに挑む。
「せいっ!」
「かけ声はいいですね」
「物理室は何も物が置いていないから、移動しやすいぞ!」
物理室には黒板の他に長机が横二列、縦八列並んでおり、それに合わせて回転椅子が五十個くらい置いてあった。
先ほどニャンニャン仮面が言った通り、あまり授業では使われないらしく、物が置いていないため、きれいな状態を保っている。
「これでどうですか?」
「はっ! せいっ!」
彼らは壁や黒板などに銃弾による穴が開けられ、日本刀で切り刻まれたりし、床には空薬莢が大量に落とされていた。
ニャンニャン仮面は回転椅子に飛び乗り、凄い勢いで発砲される弾丸を日本刀でカキンと音を立てながら必死に避けている。
「ち、ちくしょう! ベルモンドは動きが早すぎるよぉ……」
彼は自分を守ることに精一杯になってきたようだ。
今までニャンニャン仮面を支えてきてくれた二個の回転椅子は少しずつ離れていき、なんと見事な開脚寸前まで陥っている。
「あわわ……開脚寸前だぁー! 誰か助けてくれーっ!」
「ふふっ。この状況ではかかってこられませんね、変態仮面さん?」
「へ、「変態仮面」って言うな! 謎の中略ミサと同じように「キザ怪盗」って言うぞ!」
「変態仮面さん、私はなんと呼んでも構いませんよ?」
「だから……」
ベルモンドは皮肉たっぷりに言い放ち、それとともに冷笑を見せた。
彼はおそらくすでに決着がついたのだと思ったのだろう。
一方のニャンニャン仮面はダウンしかけていた。
「これはこれは……もう終わりのようですね、ニャンニャン仮面さん?」
ベルモンドがこう言ったあと、次の対戦相手であるニャンニャン刑事を探しに校内を探索しに行く。
ニャンニャン仮面は一人になった物理室で「も、もう限界だ!」と叫ぶが、助けてくれる心優しい人物は誰もいない。
彼は最終的にベルモンドにも放置される始末であった。
2018/12/10 本投稿




