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☆5☆ ガラスの靴は携帯電話


 ガラスの靴はお姫様の役どころだろ!

 とつっこまれそうなタイトル。

 タイトルと人の名前を考えるのは苦手です……。

 びっしりと数式が書き込まれたノートは開いたままだった。

 シャーペンを握り締めたままの手が見える。

 横向きで机に顔をのせ、脱力状態のままユキの帰りを見送ったのが数分前。


 やっと……。

 やっと帰った。


 何度も! 何度も! 何度も!

 同じような問題ばっかりだして!

 本当にしつこい!


 あたしはユキの帰り際の言葉を思い出してペンを握り締める。


 『じゃあ、オレ帰るな。そうだ、明日、休みだからって遊んでるなよ』


 全てお見通しとばかりにニヤリと笑った顔がムカつく。

 昔はあんなじゃなかったのに。

 本当にかわいくなくなっちゃった。

 

 「可愛かったのにな〜……」


 子供の頃のユキを思い出してため息をつく。


 握り締めた手から力が抜けると、ペンが支えをなくして転がる。

 ゆっくりと転がるペンを目で追う、ペンは机の上に置かれた鏡にあたって止まった。

 

 「うわ……肌がボロボロじゃん」


 鏡に映る、やつれた顔に驚くと頭を上げる。

 顔をまじまじと覗き込むと手で頬を撫でた。

 

 「やっぱ、昨日の徹夜かな……。ガサガサだ」


 ここのところ、肌のお手入れもしてなかったし。

 勉強ばっかりで他が見えてなかったかも。


 「やだな〜、こんな酷い顔してたんだ……ったく、これもみんな―――」


 鏡に向かって独り言を言い出すと、突然、足元が小刻みに震えた。


 ブー、ブッブー、ブブー、ブー、ブッブー、ブブー。


 この震え。

 この一定のリズム。

 そして、この重低音。


 よく知ってる音。

 携帯のバイブ音。


 おかしい……ね。

 あたしの携帯はベッドの上にあるはずだし。

 しかも、バイブなんか設定してないし。


 鏡に映るあたしの顔が複雑そうに歪む。

 そして、何かに気がついたようにハッとして、あたしは面倒くさそうに頭をかく。

 

 やだ、冗談やめてよね。

 もし、そうだとしても、知らないから。


 あたしはゆっくりと足元へ視線を向けた。

 

 この感じだと、たぶんユキが座ってた場所だ。


 椅子をクルリと回すと、あたしは立ち上がり、ユキの座ってたあたりの床を見る。

 

 目に映るのはお気に入りのテーブル……じゃなくて。

 その下に転がっている見慣れない黒い携帯電話。


 ―――やっぱり。


 嫌な予感は的中。

 たぶん、これはユキの携帯だ。

 

 「やめてよね……どうしろっていうの」


 もちろん、ユキ本人に届けなきゃなんだってことはわかっている。

 でも、できたら。

 今日はもう会いたくなかった。


 肌がガサガサで勉強で疲れきったボロボロの顔に気づいてしまった今日は。

 いくら、ガサツなあたしでも誰にも会いたくなかった。


 お隣訪問なんて何年ぶり?

 ご無沙汰なのに、この顔ってのもね〜。


 ん〜、と唸りながら時計を見ると、10時を過ぎたところだった。


 久しぶりのお隣訪問がこんな時間じゃマズイよね〜。

 迷惑だろうし〜。


 「明日でいい、よね?」


 いつの間にか静かになった携帯電話に問いかけるように微笑む。

 携帯電話相手にアブナイけど、ユキの携帯というだけで恐ろしいもののように見えた。

 次の瞬間、まるで催促するみたいに携帯が震えた。


 ぎゃーっ!

 この電話、怖いんですけど!


 あたしは跳ね上がるように立ち上がる。


 「あーっ! わかったよ! 届ければいいんでしょ! 本当っ、持ち主そっくりなんだから!」


 壁にかけられたコートを急いで着る。

 そして、床に忘れられた携帯電話を拾い上げた。

 手の中でまだ震える携帯をあたしは忌々しくポケットの中へつっこみ部屋をでた。


 「チョコ? 何してるの?」


 玄関のドアを開けると、廊下を歩いてきた母に見つかった。


 「ユキの忘れ物届けてくる」


 「へ〜、なんだかんだ言っても幼馴染なのね。仲直りしてくれてよかった」


 こういう時、母親ってのは注意するもんなんじゃないの? と思いながら、あたしはお母さんの嬉しそうな笑顔にため息をついた。


 「残念だけど、仲直りじゃないし。そもそも、ケンカなんかしてないし」


 イライラする気持ちを抑えながらも子供みたいにお母さんにあたってしまう。

 そんなあたしの事がわかってるはずなのに、お母さんはさらに続けた。


 「やだ、お母さんが知らないと思ったの? ケンカしてたじゃない! あんたが覚えてなくてもお母さんたちは覚えてるんですからね! チョコがユキ君に絶交なんて言うから、ユキ君が原因不明の熱出しちゃって1ヶ月も学校休んで大変だったんだから」


 え……。

 何、ソレ。


 ユキが熱?

 1ヶ月も学校に行かなかった?

 全然知らないし。


 あたしは口を開けたまま、玄関に立ち尽くす。


 「チョコは優しくないわね。あの頃はね〜、ユキ君がかわいそうで見てられなかったんだから。まあ、中学生にもなれば女の子と男の子の差はでてくるから、もう遊んだりはしないんだろうけど、お隣なんだから仲良くしなさいよね」


 お母さんはまるであたしが諸悪の根源で、ユキは被害者だったと言わんばかりの言いようだ。

 そもそも、本当の諸悪の根源を探せっていうなら、それはお母さん、あんただよ! と言いたい。

 だけど今更、そんな事もバカらしくて説明も面倒だし。


 だからこそ!

 お母さんには言われたくない!


 何が優しくないよ。

 あたしが何したっていうのよ。

 何にもしてないじゃない!


 勝手に盛り上がって、ユキものせられて!

 

 そうだよ!

 ハッキリ覚えてるよ!

 ユキだって覚えてるはず!

 だから、今だって、今だって言える。

 

 「ユキが……」


 「え?」


 「ユキが悪いのに……そうだよ、ユキが悪いのに! あたし、行って来る!」


 あたしは勢いよく、家を飛び出した。

 

 「ちょっ、ちょっと! チョコ! もうケンカなんかやめなさいよ! あんたは女の子なんだから! 少しは可愛くなりなさいよ」


 玄関からお母さんの言葉が響くけど、ドアが閉まると、その声も聞こえなくなった。


 走れば30秒。

 お隣のユキの家、島崎家の敷地にあたしは飛び込む。

 

 ドアの前に立つと懐かしい気持ちでチャイムを鳴らした。

 



  ※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。

    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。


































 ◆†あとがきという名の懺悔†◆


 ご来場ありがとうございました!

 書きはじめて1時間でやっとこのくらい。

 そこから読み直して修正したり、加筆したり。

 でも、3回も読むとお腹いっぱいで、もうポイッてしたくなります。

 そこが私の悪いところなのかもしれません。

 少し寝かせて読み返して、直せばもう少しマシになるのかな。

 しかし……いつも書いてて思うのは。

 私のお話って面白くないんですよね。

 ユーモアのセンスがないので笑えないし……。

 やっぱり才能とセンスの問題なんですかね。(泣

 ま、別にいいんですけどね。

 楽しく書ければ!

 お仕事も楽しい時期突入で

 次の更新も謎ですが早めにがんばりますね♪

 やっとノッてきた感じ?

 

 さて次回♪ ☆6☆ 王子が幼馴染にもどる時

 

 あらすじなんかポイッです。

 面白くないから。

 更新の間隔が広いので変な感じですが

 実は、まだ数日しかたってないんです。

 でもって、次はスパルタ塾1日目の夜なんですよ。

 もともと、1週間くらいのお話の予定だったみたいで

 展開が細かくて早いのであらすじはポイすることの決定しました。

 また組直しします!

 でわ!


 

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