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no rot zombie~腐らないゾンビの異世界生活~  作者: 八卦
第一章~甦りのお姫様~
4/10

第三話

遅筆なのが辛い.....。

文才が欲しい......。

少年――頭の上の表示からして、エイブという名前なのだろう。

エイブの振り下ろした剣が俺の肩口を切り裂く。傷口からだばだばと赤い液体が流れ出る。痛みはない。ゾンビになった所為だろう。


エイブから目を離さずに赤い液体を見てみる。ぱっと見、血と変わらないように見えるが、明らかに血よりも薄い。地面が透けて見えるほどに薄い赤色をしている。

それに、すこし分かりにくいが、血よりもさらさらだ。肩から流れ出る液体を触ってみると、水と変わらないぐらいか、それよりも粘性が無い。


「ちょっと待ってってば!話を聞いて!」


話すこともないし、さっきステータスで確認したとおり、間違いなくモンスターなのだが、とりあえずこうやって時間を稼ぐしかない。

その間にもとめどなくあふれる液体。いやな予感しかしない。このまま流れ続けたら俺は恐らく死ぬだろう。


痛みは無い為、できるだけ力を込めて傷口を抑えることができるが、傷を負う前よりも明らかに手に力が入らない。この様子だとどれだけ持つか.....。


「煩い!」


そう言って再び大きく剣を振りかぶるエイブ。その動作は、手柄を前に焦っているというか....剣に詳しくはないためよくは分からないが、手つきは手馴れているのに隙が大きい感じがした。もしかしたら俺が抵抗しないと見て油断しているのかもしれない。

なら、チャンスは今しかない。ここで人に敵対してしまうのは気が引けるが、ここで抵抗しなければマジで死ぬ。


剣がエイブのちょうど頭上に来た瞬間――俺はエイブに体当たりをかました。窮鼠猫を噛む、というやつだろうか。俺の予想外の反撃に、よろめくエイブ。


「うおぁっ!?」


足を払ってこけさせた後、全力で走って逃げる。すぐに曲がり角があればエイブを撒く野に役立っただろうが、残念なことにここは真っ直ぐな通路。しばらくはエイブの視線から外れることはできない。


しかしエイブをこかして逃げてきたのだ。そう簡単に追いつかれるはずが――


「くッ、『バインド』!」


突然、後ろからエイブの掛け声が聞こえたかと思うと、俺は何かに躓いてみっともなく転んだ。何に躓いたかなんて見ている暇は無い。急いで立ち上がって走り出そうとするものの、何かに足が絡まっていて走るどころかこの場から1歩も動くことができない。


「なんで!?」


足元を確認してみるが、何も絡まったりしているようには見えな――ん?よく見れば何かが薄い、本当に薄い水色をした.....ツタ?のようなものが足に絡まっていた。それの触り心地はつるつるしていて結構気持ちいい.....じゃ無くて!


引っ張っても切れないので腰につるしていた矢筒から矢を1本だけ取り出して、ツタを切り裂く。矢筒に入れる時間ももったいないので、後ろに矢を狙いもつけず投げて、走り出そうとする。


「『バインド』『バインド』『バインド』!」


が、いくつも生えてきたツタが体のいたるところに絡まってまた拘束されてしまう。エイブの掛け声に連動して生えてくるところを見るに、恐らくは魔法かなにかだろう。

抜け出そうともがくも、俺の抵抗を意にも返した様子はなく、ツタは俺の全身に絡まり、動けないように拘束する。


両手、両足、腰をツタで拘束されており、空中で大の字のようにになっている.....なんかこの体勢嫌だな。魔法を発動したエイブの趣味なのだろうか。


「ハァ、ハァ、ハァ.....」


肩で息をするエイブが俺の目の前にまで来た。

魔法を使ったせいなのか、息も荒れているし心なしか顔も赤い。


「お前はなんなんだよ」

「......ただのゾンビです」

「嘘を付くな。ゾンビは少なくとも人と話すほどの知能は無い。表示とは明らかに違う魔物.....絶対に新種だ」


そう断言するエイブ。だが、その言葉には自分に言い聞かせるようなニュアンスが感じ取られた。


「新種じゃないってば。俺はただのゾンビです。誓って。ほら、頭の上を見て」


本当は自分の頭の上に何が表示されているかなんて見れないし、俺が新種じゃない確証なんて無い。しかしエイブの「知能のある新種を倒せば報酬がもらえる」と言う発言から、どうやらエイブは新種を狙っている、もう少し踏み込んで言えば、大量の金を稼がなければならない、といったところだろう。


ならばここは嘘だろうがハッタリだろうがエイブに俺は新種では無いと思い込ませるしかない。


「う.....」


どうやら俺の頭上にはちゃんと『ゾンビ』と表示されているようで、言葉に詰まる。ここを叩けば何とかなるかもしれない。


「だから、俺は新種じゃないですって。ホラ、だから倒しても報酬なんて貰えないデスヨ?」


すこし嘘っぽくならなかっただろうか。大丈夫大丈夫。俺は嘘は苦手なほうではない。よく友人に「白々しい」といわれていた。


「....なんか嘘臭いな」


なにっ、気づいただと。

勘の良いやつめ。


「気のせいです。ウンウン。表示を疑うんですか?」

「それは.....」


再び言葉に詰まるエイブ。ばれなくてよかった....。

それにしても、ステータスなどの表示はこの世界において結構信頼されているようだ。偽造のできない身分証明書みたいな扱いなのだろうか。


「だからさ.....これ、外してくれません?なんか恥ずかしいんですけど」


そう言って指を無理やり動かしてツタを指差す。

瞬間、エイブはぼっという音が聞こえそうなくらいの勢いで赤くなると、


「わ、悪い!」


と言って解除してくれた。男がツタに絡まれているのを見て赤くなるとか、ホモ?もしくは俺が男の娘級にかわいいのか?鏡を見ていないから分からん。


あ、ちなみに、俺はホモやレズに対する偏見は無い。


「......」

「......」


とたんに流れる気まずい空気。

なにせ話す話題もない。あ、いや、この世界のことについて聞けばいいのか?

俺が口を開く直前に、先にエイブが口を開いた。


「なあ、お前ってほんとにモンスターなのか?どうしてもそうはいえないんだが.....」


と言われましても.....。俺はエイブ以上にこの世界について知らないし、恐らく自分に対してもそうだ。そもそも俺はこの世界で言う『ゾンビ』というものがどういったものかすら詳しく知らないのだ。


まあ、少なくとも.....


「心は人間のつもりですけど」

「はぁ.....ま、そういうことにしといてやるよ」


どうも釈然としないようだったが、どうやら許してくれたようだ。よかった....。


「新種じゃなくて攻撃してこないなら別に殺しはしねーよ。.....別に、切って悪かったとか思ってねーからな!今日はそういう気分なんだよ!」


そう言い終わったかと思えば、俺から顔を背けるようにして走り出した。台詞があまりにもツンデレすぎて噴出してしまったのは、恐らく見られていないだろう。







俺の名前はエイブ。最近は迷宮に入り浸って金を稼いでいる。


と言うのも、魔王軍の侵攻で父親が敵の呪いにかかってしまい、その治療費が馬鹿にならない値段なのだ。

療養のために魔王領から離れた内地にある国に引越し、そこで金を稼いでいる。幸い、俺は小さいころから父親に剣を教えられていたから、すぐに迷宮探索には慣れた。始めは生き物を殺すことに多少の抵抗を持っていたが、いいことなのか悪いことなのか今は平気だ。


しかし、俺みたいな若造が迷宮探索でえられる金なんて、高が知れてる。たとえ迷宮探索が他の仕事よりも稼げる仕事だとしても、だ。


そんなときに、町に恐ろしい噂が流れた。勇者パーティの1人、セシリー様が迷宮で亡くなられたというのだ。

セシリー様は勇者パーティーの1人で、今ではもうほとんどいないハイエルフの1人だ。美貌が多いとされるハイエルフの中でも飛び切りの美貌で、美しい、と言うよりも可愛らしいといったような容姿らしい。らしい、と言うのは、これは人づてに聞いた話で、実際に見たことはないからだ。


そんな事情もあり、セシリー様は勇者パーティーの中でもアイドルのような存在で、噂ではファンクラブもあるほどだそうなのだが.....。


そのセシリー様が死んだとなると、大変な騒ぎになること間違い無しだった。


――まあ、それだけならばいくら美しいと言えども見たこともないので「ふうん」で終わっただろう。しかし、噂はそれだけでは終わらなかった。

そのセシリー様を殺したのは、『知能を持った新種』らしいのだ。


知能を持った新種は、人類を滅ぼすことや自分の欲を満たすことしか考えない。魔王も、元はただの知能を持った新種だったのだ。それもあってか、知能を持った新種を処分すれば、国から多大な恩賞がもらえるのだ。


知能を持った新種の恐ろしいところは、どんな手で攻めてくるか分からないところにある。いくら知能があれども、存在が知られている魔物であればその能力は傭兵ギルドの図書室にでも行けば分かる。


しかし、新種の場合はそうも行かないのだ。


新種の場合は種族としての能力がまだ不明な為、戦う際の対抗策がない。そのため、どれだけ熟練したパーティーでも、すこし気を抜いていればやられてしまう。

昔あった有名な話だと、二級傭兵だけで組んだパーティーが知能ある新種一匹にやられたと言うのがある。


二級傭兵ともなれば、一人で一小隊にも匹敵する戦力を持つという。もちろんそれは万全の状態で警戒しつつ真正面から戦ったときの戦力だ。


そして、その魔物を倒したのは、なんと大して有名でもない八級傭兵の男だったそうだ。その後、その男は国から多大な恩賞を貰い、一生働かずに暮らしたと聞いた。



そう、つまり知能ある新種は新人でも倒すチャンスがあると言うことだ。幸いにも、俺の実力は客観的に見ても中堅傭兵ぐらいはあるはずだ。


――このままだともうすぐで父が死んでしまう。だが金は一向に集まる気配が無い。



......俺は覚悟を決めると、セシリー様が死んだ迷宮『クラフティ火山の天空迷宮』別名、『腐敗迷宮』へと向かった。

最近、minecraftにはまってるんですよね。クラフティ火山はminecraftのcraftから考えたとかそうじゃないとか。


11/1 ちょっと最後あたりへんこーしますた。

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