第九話
今回は短いです。
ありえないほど短いです。
これ書いたとき眠かったんです。
それにしても短いです。
これ書いたの久々だったんです。
それにしても短いです。
スイマセンでした。
扉をくぐって中に入ると、部屋の中がしんと静まり返った。
男達についていって大きな部屋に入ると、そこには既に大量の人たちが所狭しと詰め込まれていた。中には見た目華奢そうな女の子やらケモミミをはやした人なんかもいたが、エルフだけはどれだけ探してもいなかった。
エイブに聞いたところによると、エルフってのは大体が森に住んでいて普通の人間が会うことはまずないそうだ。エイブも会った事がないといっていた。
案内役の男が出て行くとまたざわざわと話し声が戻ってくる。
――おい、あんなガキまでいるぜ。
――マジかよ、こんなとこ来るような歳じゃないだろ。
どうやら話の話題は俺のようで、そこそこの人数がこっちを見ながらこそこそと話している。確かに、当たりを見回してみても俺と同じくらいの身長の子はいない。それはそうか、こんないくら男とはいえここまで小さいうちから危険な仕事をさせるわけには行かないだろうし。
好奇の視線から逃れる為に場所を移動しようとしても、部屋自体が結構満杯気味なのと体が小さいのとでうまく行かない。
――あのガキ、あの年齢で来るってことは実力者の弟子とかなんじゃ?
――おいおい、だからってここはガキが来るような場所じゃねぇよ
――弓背負ってるし、弓使いなんだろ
――どうせ魔道弓だろ?
――いや、ただのぼろ弓っぽいぜ
ビビッて縮こまっていると、噂は俺が強いのではないかと言う話になっていった。はっきり言って俺は雑魚だし、そんな事言われても困るだけなんだが.....。なんか緊張するぜ。
「あ、あの、依頼ってなんなんでしょうかね?」
「う~ん、まだ分からないけど、多分大型魔物の討伐だと思う。それも結構危険な。でも、それだけじゃあの報酬の金額に説明がつかない。もしかしたら、もっと危険な依頼かもしれない」
大型の魔物討伐?それってもしかしてドラゴンとかそんな感じのファンタジック生物ではないだろうか。モン○ン的な感じに討伐するんだろうか。
俺だって男だし、そんなロマンの塊に会えば興奮するだろうが、そいつと戦うなら話は別だ。興奮している暇はない。興奮してる間に死ぬ。
できればドラゴン以外がいいなぁ.....。
ま、まあもし仮に相手がドラゴンだの竜だのでも俺は弓兵だから大丈夫、後ろのほうにハイチされるはず。それならやばくなれば逃げればいいし、相手の攻撃も飛んではこまい。
俺はこのとき既に、戦う相手が魔物だと決め付けていた。
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それからもむさい団体が3つほど入ってきて、そろそろ部屋がぎゅうぎゅう詰めになってきたころ。
ようやく軍議的なものが始まるようで、先ほど魔方陣で案内してくれた人が部屋に入ってきた。
急に張り詰めた場の空気に、いまさらながら命がかかっているんだと再確認して足が震えてくる。駄目だ駄目だ。びびったりしたらそれこそ命がいくつあっても足りない。きちんと逃げる準備、じゃなかった、戦う準備しとかないと。
「では、今回の依頼内容を知らせます」
シン、と耳に痛いほどの静寂。
「今回は、侵略してきたアデライード王国と戦ってもらう。君達にはアデライード王国軍に対して先手を打ってもらうこととなる。君達が交戦して敵をひきとめている間に我々の援軍が相手軍を囲い、それを殲滅する!」
それってつまり.....。
「俺達に囮になれってことか、くそ、ふざけた作戦を立てやがって」
隣でエイブが珍しく愚痴をもらす。が、俺が気になったのはそこではない。
「アデライード王国って....」
「アデライード王国ってのは森にあるエルフの国だ。エルフは数が少なくて、そのほとんどがアデライード王国に住んでいる」
そう、相手が王国だということは少なくともある程度の、意思疎通が可能な程度には頭がいいということだ。即ち、人を殺すのとなんら変わりは無い。しかも相手は知能があるだけの魔物ではなく、人とほとんど変わりの無いエルフだという。
「このことは国民のパニックを防ぐ為、他言無用だ。もちろん、この場において作戦から身を引くことは許されない!」
そうか、国民のパニックを防ぐ為に依頼の内容を先に言わなかったのか。依頼の内容を言わないなんておかしいなとは思っていたが、こういう事情があったとは。....じゃなくて!
人を殺すなんて、やったこともないしあるわけない。もちろん、やりたくも無い。しかしここまで来ると残念ながら依頼を放棄することはできなさそうだ。
こんなコトなら、もしかしたらドラゴン相手のほうがよかったかもしれない。
「今日はゆっくりと休んでもらう。出発は明日の明朝、夜明けとともに出発する。こちらに仮眠室がある。ついて来い!」
そういって大声を張り上げて歩き出す案内係についていく。
正直今すぐここから逃げ出したいが、それはできない。いや、万が一できたとしてもこの何も分からない世界に1人投げ出されても生きていける自信もないし、やっぱり寂しい。
俺は覚悟を決めて案内係についていった。