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プロローグ

気分転換で書いてみましたので、全体に短めです。

世界観は多分違うと思います。

現実優先ですので、進み具合は本人の気分によります・・・。

 


「はい」

「何これ」


 起きぬけのベッドの中で、母親の菜月にいきなり包みを渡される。綺麗に包装してあるその箱は、一抱えぐらいある結構な大きさの物だった。ボーっとした頭が徐々に覚醒していき、思いだす。


「あー」

「そう、プレゼントよ瑞希(みずき)。15歳の誕生日、おめでとう」

「ありがとう? ・・・でも私の誕生日は8月25日なんだけどね」


 夏休みの初日からお母さんの天然ボケにつき合わせるとは思わなかった。加えて以前の誕生日にはプレゼントなど貰った記憶がなく、増額お小遣いで済まされていた気がするので首を傾げながらもありがたく受け取る。早く開けなさいと目が訴えているので、促されるままに包装を解いて箱の蓋を開けると・・・。


「何、これ・・・」

「誕生日プレゼントよ! 言ったでしょう?」

「うん、聞いた。でもね? 娘の誕生日に趣味でもないコスプレセットを贈るのはどうかと思う・・・」

「でも瑞希はスカート穿かないでしょ?」

「そうだけど、論点がずれてる気がするよ、お母さん」


 溜息を吐きつつ見つめる箱の中身は、RPGに出てきそうな短衣(チュニック)とズボン、フード付きのマントに背負い袋(ナップザック)とベルトポーチ。それらを退かすとそのさらに下には、厨二病になりそうな銀色の六亡星(ペンタグラム)のペンダントと、上品な青い石をあしらった見事な短剣とよく切れそうなナイフ(共に鞘付き)。アンティークな感じのくすんだバングルが二つ。


「お母さん、私にコスプレデビューさせたいわけ?」

「お母さんは大真面目よ。 今日から貴女はガルディアに行くの!!」

「は?」


 ツッコミどころ満載だが、とりあえず聞いてみる。


「ガルディアって何?」

「ガルディアはお母さんの出身地よ」

「・・・初耳ですよ」


 いつからお母さんも厨二病にかかってたんだろう。

 日本の一般家庭に住み、癒し系お父さんと天然お母さんの間で普通に過ごしていたはずだった。確かにお父さんの実家に行く事はあってもお母さんの実家に行く事はなかったので、何かあるのだろうなとは思ってはいた。お父さんに聞いても笑って誤魔化されてたし。まさか聞いた事もない地名を言われるとは・・・。聞くだけならラノベにある異世界だよね、それとも私が知らないだけでそういう名前の国があるんだろうか? 確かにお母さんの顔立ちは日本人離れの美人だけど、明らかに外国人と言えるような顔でもないから気にしてなかったんだが。


「で、夏休みの初日にこのプレゼントと共に、そのガルディアに行けと?」

「うんうん」

「何しに?」

「15歳は成人よ! お母さんの両親への挨拶と、冒険者(ハンター)ギルドへの登録に決まってるじゃない!!」

「ソウデスカ・・・」


 相当病んでいるらしい。今まで常識はずれなお母さんを天然だと認識していたけれど、厨二病だったみたいだ。軽い頭痛を覚えながら、一応続きを聞いてみる。


「私パスポート持ってないんだけど・・・」

「大丈夫よ! 家の玄関から行けるから!」

「・・・・・・は??」 


 いつから家の玄関はどこでもドアになったんだろう。いや、問題はそこだけではなく、何が大丈夫なんだろう・・・。

 盛り上がっているお母さんには何を言っても通じないので一人考え込んでいる間に、私は立たせられファンタジーコスプレをさせられてしまっていた。しかも全体的に大きい・・・。


「これ、男物だと思うんだけど」

「うん、男物だからね」

「・・・そう」


 諦めて、また溜息をつく。私も女性にしてはやや高めの165㎝の身長でたまにメンズも着たりはしているが、この服は明らかに180越えのがっちりした男性物だ。

 海外からネットで注文でもしたのだろうか? いや、お母さんがそんな事出来るわけないから、お父さんも噛んでるな。全く、似た者仲良し夫婦め。


 お母さんは、だぶつきつつもコスプレ状態の私を眺めて満足そうに頷くと、部屋で呆然と立っている私の背中を玄関に向かってぐいぐいと押し始めた。


「さあ、お父様達がお待ちかねよ、気をつけていってらっしゃい。あちらの事は、レヴァンに任せてあるから」

「ちょ、ちょっと、お母さん?!」

「大丈夫よ、【ゲート】を通る時にちょっとグルグルするけど、慣れれば平気になるわ」

「【ゲート】って何??!」

「お夕食もお父様達と取る事になってるから、24時までには戻ってらっしゃいね!」

「はぁ??!!」


 もたついている間にどんどん押され、玄関のドアまであと一歩。ぼんやりしているお母さんだが、見た目と違って怪力なのである。いつの間にか用意してあったロングブーツを履かされる。


「お母さん??!」

「いってらっしゃ~い! お土産楽しみにしてるわね~、あとお父様とお母様とお兄様やお姉様達によろしく言っておいて~~!!」


 どん!!!

 いつの間にか開いた玄関のドアの向こうが、どんよりマーブル状の魔界色?になっているのを見てビビる間もなく、私は実の母親の手によって異世界に突き落とされたのだった。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

見切り発車ですが、どうぞよろしくお願いします。

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