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教会にて

 前回まで

鮫嶋です。

クニオとシャルルの二人は放置で教会に入った。

今やるべき事を優先するのがベターだと判断したからだ。

後の事は後で考えよう、二人の間柄とか、本当仲いいな。

私には……


 これが……魔力……

 魔力は見える、という事なのか。

 どうにも落ち着かない。

 体中を何かが駆け巡っているような、そんな感覚。


「視覚認識出来るのは素質がある証拠ですな。

 人によって、嗅覚であったり触覚であったりで魔力を感じるものです。

 視覚認識は一番ポピュラーで、かつ扱いやすい」

「なにを、したのでしょうか」

「光属性魔法の、『共感』というものです。

 なに、害はありません、互いの意思疎通をし易くする、といった効果の魔法です。

 本来の用途とは違いますが、体に魔力を循環させる事で、その認識を覚醒させるのに使わせていただきました」


 なるほど、分からん。


「まだ頭が混乱していて……」

「まあ、そうでしょうな、とにかく、魔法で攻撃されて魔力を覚醒させなかっただけ良かったと思っていただければ……そのまま人生を終える事もありますまい」


 傷付けられなかっただけマシ、という事か。

 そう言われてしまってはグウの音も出ない。


「じゃあその、これで素質なんかも分かっちゃったりしたんでしょうか?」

 何だかよく分からないが、私は魔力が見えるようになったらしい。

 『共感』のせいなのか、はたまたこれからもこの状態なものかは分からない。

 兎に角、ここへ来た目的は素質を見極める、という事だったはずだ。


「魔力はあるようです。それもかなり。

 これだけ魔力があれば、魔法をメインに魔物とも戦えましょうな」

「魔法の適正がある、と」

「訓練は必要でしょうが」

 そりゃまあ、そうだろう。

 訓練だけではない、知識も必要だ、私は魔法のマの字も知らないのだから。


「では、続いて属性も見ていきましょうか」

 神父が切り出し、私は黙って頷く。

「水晶に手をかざしてください」

 ああ、やっぱり使うのか、これ。

 前の世界の知識からだろうが、水晶に対しては何とも胡散臭さしか感じない。

「こう、ですか」

 真っ直ぐ手を伸ばし、水晶の真上に手のひらが向くようにする。


「疑っていますね、『共感』で分かります」

 そんなことも分かってしまうのか、いやまて共感?

 私の方からは神父の気持ちは読めないのだろうか。

「疑う事は構いません、しかし迷いを捨てて、集中してください。

 魔力を感じ取れる今のあなたなら、この水晶に魔力を注ぐ事も可能なはずです」

 ぶっつけ本番でやれってか、無茶を言う。

 しかしまあ、「やるしかない、ですね」


「そういう事です」

 だんだん『共感』が分かってきた。

 どうすれば良いのかが分かる。


 集中、魔力を手に集める感じ。

 そのまま水晶落とし込むだけでいい。

 簡単だ。


 だがその簡単が私には難しい。

 魔力の流れは見える、集中させ方も分かってきた。

 『共感』、なるほど神父さん、そういうことね。


「少し、強すぎますね、難しいでしょうが、集中を切らさず、力を抜いて」

 いや本当難しいからそれ。


「むぐぅ……」

「そう、その調子です、見えてきましたよ」

 確かに、水晶の中に何かが浮かび上がって見えてくる。

 黒い靄のようなものが見え、それは次第に集まり、やがて一つの塊となった。



「こ、これは……!」

 神父が驚愕の表情を浮かべる、『共感』のせいだろうか、神父の焦りが私にも伝わってくる。

 まるでそれが、あってはならない事のように水晶を見つめる。

 何故だろうか、私にとって水晶に現れた塊は、とても美しく、輝いて見えた。

 神父は重要キャラじゃありません。

今後登場しないわけではないですがまあちょっと出番が多いモブキャラって感じです。

名前は考えてないですが今後名前くらいは出るかも。

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