春眠暁を覚えず
色々設定考えてたら風呂敷畳めなくなりましたー
はたと目が覚める。
随分と長い眠りから覚めたような感覚。
実際そうなのかもしれない。
身を起こして辺りを見渡すと草原が広がっていた。
見慣れた景色のような気もする、どこか懐かしさを感じる風景だった。
でも、初めて見る風景のようである、記憶がない……
随分と寝心地が良かったのだ、全く起き上がる気がしない。
もう一度ゴロンと横になると、空を見上げた。
青空に溶けた雲がゆっくりと流れていく。
平和な空だ。
私は妙に落ち着いていて、目を瞑り、現状把握に努めてみた。
大したアイデアも浮かばず、虚無感が支配する。
私はゆっくりと目をあけ、呼吸の仕方を思い出したようにため息を吐いた。
と、私が何かの決断を出すより先に影が視界を横切る。
「うぁあああらああああ!」
これはもちろん私の声ではない。
真上を見ていた私の視界を横切ったという事は、私を跨いだという事だ。
その事実に対してどう対応したものか逡巡し、思考は停止された。
何の決断を下そうとしたのかも有耶無耶になる。
その方向を見る、男だ。
男が手に持った剣でもって、異形の怪物を切り伏せた所だった。
剣をひと振り、血糊を払うと振り返る。
「大丈夫でしたか!」
男の言葉に私は軽く手を上げて見せると、訝しむ様な表情をした。
そして考えるような表情になる。
あれは、私に会った事があるだろうかと記憶を手繰り寄せている感じだ。
それにならってみるが、私には記憶がなかった。
結論に至ったのか、男の顔が明るくなり、小走りに近づいて来る。
「鮫嶋?鮫嶋だよな?無事で良かった!」
馴れ馴れしく話しかけられたが、あの怪物を見るにどうやら命を救われたらしいので、無下にはできない。
「まあ、無事みたいだ」
私は初めて声を出したように掠れた返事をした。
男は屈んで、寝ているとも座っているとも取れない私の視線の高さに合わせた。
「まだ残党がいるみたいだからね、すぐ倒して戻る、そこで安心して待っててくれ」
そう言うと、集まり出した怪物達の下へと駆け出す。
既に何人かの人間が怪物と格闘していた、仲間だろうか。
男とその仲間と思しき数人と怪物との戦いを、どこか他人事のようにぼうっと見ながら思考する。
自身を知る人物に会えたのは幸運かもしれないが、あの男はどうだろう。
困った事になった、あの男は私と接触してくるだろう。
しかし私には、記憶がないのだ。
定期的に更新は難しいので不定期更新になりますが、出来るだけ続けて行こうと思います。
目指せ完結!




