女の子?
学生(女装)×学生
※BL要素が今までで一番薄いです
高校に入学式して三日目、美少女にぶつかった。
運命の出会いかとうかれたのは一瞬、男子校である我が校の廊下に何故女の子がいるのかと疑問に思ったのも一瞬、
「っ、すいません…」
転けて少し捲れてしまった少女のスカートから見えたトランクスに驚いたのは、数分だった。
気がついた時には、一人ぽつんと廊下に佇む俺。
キーンコーンカ(略
チャイムが聞こえ、とりあえず教室に戻った。
次の授業は数学?社会?
まぁいいや、ゆっくり頭の整理をしよう。
一人立ちしたくて、寮があるこの男子校に入学したのは三日前。
何事もなく男だらけの入学式は終わった。
一日休みをはさんで、二、三年生が盛大に開いてくれた男だらけの新入生歓迎パーティー。
いや、違う…。
よく思い出せ…。
視界に、女の子がいた。
しかも三、四人…。
何故気がつかなかった俺っ、本当に何故気づかなかったっ。
中学が共学だったせい?
周りの男と違和感なく親しげに話していたせい?
わからない…。
「宮間君」
「ぁ、はい?」
悩みすぎて授業が終わっているのにも気がつかなかった。
声をかけられてはっと顔を上げると、目の前には可愛らしい女の子の顔があって、
「宮間君だよね、ちょっとだけ時間もらえる?」
「はい、大丈夫です」
「ふふっ、よかった。着いてきて」
一時間程前にみた女の子とは違うタイプの小さくて可愛らしい女の子。
名前も知らないその子に素直に着いていく俺。
うん、俺は阿呆だ。
「ただいまー」
「おかえりヒナ、連れてきた?」
「彼でしょっ?」
「そう、ありがとう」
ヒナちゃん?は、俺を教室のある棟に隣接している部室棟の一室に連れてきた。
部屋の前にオネェ部と書かれた看板を見た気がするが、気のせいだな。
部屋の中にはヒナちゃんと廊下でぶつかった女の子の他に、背が高くスカートを下着が見えないギリギリまで短くした女の子と、短い髪がくせ毛なのかふんわりしているゆるい雰囲気の子がいた。
「メイちゃん、彼は誰?」
「ユイナ忘れるの早すぎぃ、アイリがさっき話した彼よぉ」
「ぁ、ユイナ思い出したよ」
話についていけない。
キーンコーンカー(略
次の授業が始まった。
四人は教室に戻ろうとしない。
「あのー、」
「なに?」
「教室戻っていいですか?」
部屋の真ん中には会議室にあるような机が向い合わせで二つ置かれている。
奥の椅子に座るアイリちゃんに帰っていいか聞いてみた。
「駄目。何のために呼んだと思ってるの?」
「何のために呼んだんですか?」
「私が部長を務めるオネェ部に君を勧誘するため」
「…はい?」
「部員は五人、私たちは全員おねえなの」
「違うよっ、僕は男の娘だよっ」
「そうだったね、ヒナは男の娘」
はい?
驚きのあまり言葉に出なかった。
こんなに可愛くて、こんなに綺麗で、男?
男の娘ってなんだ?
って、俺をオネェ部に勧誘?
「活動内容は、…何だっけ?」
「僕は可愛い男の娘になるために色々頑張ってるっ」
「私は皆が楽しそうだったから入っただけぇ」
「私はメイちゃんが入ってるからー」
部として活動する意味はわからない。
わからないが、皆楽しそうだ。
楽しそうだけど、すいません俺は無理です…。
「それぞれが思うように活動しているの」
「アイリぃ、色々同時に言いすぎて彼困ってるわよぉ」
「メイ、そうよね。宮間君…」
「っ、ぇ…?」
アイリちゃんに呼ばれぼーっと考えていた俺は意識をアイリちゃんに戻す。
まっすぐ俺を見るアイリちゃんに、俺も真面目に見つめ返した。
「私は宮間君に素質を感じたの…。ゆっくり考えてみて」
「…はい」
わからないことばかりだが、アイリちゃんの表情から真剣さが伝わってきて、俺もちゃんと考えようと思った。
アイリちゃんが言うように、ゆっくり。
ゆっくりって、なんだろ…。
その日から毎日四人が勧誘に来て、結局押しに負けて女装デビューをしたのは一週間後のことだった。