ただの一目惚れ
ただの一目惚れ
昨日の疲れがたっぷり溜まったままの状態での出勤!まったくあのウキウキした感覚は何処へいったのでしょうか?
起きてからブログを覗くと驚くほどのコメントが入っていた。
日ごろは一人一人にお返事かくのですが、さすがに書けない状態でした。
それにしても凄い反響に驚いている反面、何だか自分が主役になった気がして優越感もあるかなぁ。
「そっか、それであの黒板ね」
お酒のメーカーの石井さんが笑った。
「ひどいでしょう。マスターはお客さんと一緒になってイジメるんですよ。」
マスターが昨日書いた黒板の“チャーリーの特徴”がやけに目だってる。
「でも、吉沢さんの人気があればこそなんじゃないの?」
「またまた、そんな人気無いですよ。ただイジメてるだけだすよ。」
確かに、うちのお客様はマスター目当て!前に言いましたけど、元甲子園優勝投手!一年生でエース、当時はかなりのアイドルだったみたいです?
残念ながら肩を壊して野球を断念した。一度地獄を見て這い上がってきた人の話には説得力がある。だから決して男前ではないけどマスターは人気がある。
そのマスターに目もくれず昨日は私に集中した事は悪い気はしなかった。
時間は7時。いつもの早がけのお客様に散々いじられる。
「ヨッシーにも彼氏が出来たかぁ〜、めでたいめでたい!シャンパンで乾杯しょうか?」
「南さん、彼氏じゃないですよ!一目惚れだって。」
「何言うてんの、ここに来て5年だっけ?今まで一度もそんな話なかったやんか。何にせよ、めでたいめでたい!」
南さんデザイン事務所の社長さんで、私を可愛がってくれるおじ様です。
「大樹!シャンパン開けてや」
「いいんですか?」
「ええって、わしはヨッシーのファンやからな。めでたい時はシャンパンや!」
南さんの気持ちをみんなで頂いた。何だか昨日今日と何とも言えないお店に一体感がある。
カウンターを中心に笑い声が絶えなく、小気味良いシェーキングの音が響いてる。
バーのある風景って感じが心地よかった。
昨日に比べると突っ込まれる事に慣れたのか、まるでドラマのヒロインの様に喋れる様になってきた。
10時まわった頃、美佐がやって来た!
「それで、どんな男なん?まぁ、はやみがそこまで言うやから福山くんみたいは顔やな?」
「鋭いね、やさしい感じの人やったんよ」
顔は福山くんみたい・・・
「て、マスター!黒板書かなくていいですから!」
油断も隙も無い!マスターが黒板に書こうとしていた。
「何、あの看板?うけるね。」
「うけてる場合じゃないよ!マスターも一緒になってイジメるんだから。」
「それにしても、チャーリーってのはどうなん?」
「だってぇ、ストラップが可愛いって思っちゃったんだもん」
「何、可愛こっぶってんのよ!4年も彼氏が居ない女が!」
あっ!言いやがった。確かに4年間の長きに渡り彼氏なんてものは居ませんよ。
て言うか、あんたも同じなんじゃないかなぁ。
「えっ!姉さん4年も彼氏がおらんのですか?」
前田くんが食いついてきた!
「悪い!この女も一緒よ!」
「えっ!美佐さんもですか?」
いちいち驚くなこの小僧!
「あんたと一緒にされたら困るわ〜!」
何、この上から目線は?
「あら、美佐は違うのかしら?」
「はやみみたいに日照り続きでは無いってことかな」
「知らなかったなぁ〜、そんなにおもてになってるなんて聞いた事がなかったから」
「いちいち言う事でもないかなぁ〜て思ってねぇ〜」
引かない女だね。確かにに目ぱっちりで可愛いいわよ!それにあたしと違って胸も大きいしね。
「そこの崖っぷち二人!虚しくなくるからやめなさい!」
マスターの仲裁が入った!
「は〜い。」
美佐はマスターの言う事は結構素直に聞く。だって、美佐はマスターの事が大好きだから!
私が気づいてないと思ってる哀れな女だ。
私の一目惚れをどうこう言う前に、美佐はマスターに一目惚れしてここに通ってるのだ!そして私は美佐の紹介でこの店にお世話になってる。
「で、何処の誰かもわからへんの?」
「残念ながら・・・」
「平日の昼間に夙川から乗ってきたでしょ、そのあたりに住んでる可能性が高いね」
「やっぱり夙川で張り込うかなぁ?」
「有りちゃ有りだけど、一つ間違えたらストーカーよ!」
確かに、あぁ〜あの時にもっと何とかしとけばよかった〜!
今さらながら本当にただの一目惚れだよね。