ゆるして〜
ゆるしてぇ〜
何だか営業前に疲れてしまった感じ!
「前ちゃん、看板よろしく!」
「ハイ!」
マスターがオープンの合図を出した。
「うわぁ〜!」
扉を開けようとした前田くんを押しのけて、お客さんが入ってきた。
「ちょっと!ヨッシー!チャーリーって何だよ!」
えぇ〜、いきなり〜!
「いらっしゃい、西さん」
「マスターはいいから!ヨッシーどう言う事」
ちょっと落ち着いて。常連さんの西さん、宝石屋さんで歳は45歳ほぼ毎日やってくる。
「西さん落ち着いて、お水でも飲みますか?」
「水?水はいらない!ビール、ビール頂戴!」
最初からこれは先が思いやられるなぁ?
「ブログ読んだよ!一目惚れってどう言う事?説明して」
説明しろって言われても・・・私はブログに何書いたんだろう?
「いらっしゃいませ」
マスターの声に反応すると、目の前に座ってる西さんと同じような勢いで、これまた常連さんの川端さんが入ってきた!
「ヨッシー!何だよあのブログは!」
いやいや、みなさん落ち着いて。あくまで一目惚れです。結婚するって言った訳ではないので。
「毎度、川端君。あんたもか?」
「どうも、西さんもですか?」
いったい何人来るんだよ!怖〜い。
「いやいや、ただいい男見て、いいなぁと思っただけすよ」
「マスター!マティーニ!」
川端さんの勢いにマスターも押され気味でミキシンググラスに手を伸ばした。
「どんな男なの?」
「いや、何と言うか・・・がっちりしててぇ・・・シュッとした感じでぇ・・・背も私より高くて・・・やさしい目してるの」
説明してもまったく納得しようなどと思ってない2人!
「で、携帯ストラップがチャーリーブラウンだったからチャ−リーってか?」
ハイ!その通りです。あんちょこでごめんなさい。
助けて〜マスター!
「まぁ、ヨッシーも女だったて事だよ」
「マスター!ヨッシーは女だよ!俺らはず〜と思ってるで!」
「え!そうなの?」
「確かに化粧もしないし、飯もよく食うし。大酒は飲むけど・・・」
いやいや、ちょっと待って!
「それでも、ヨッシーのファンなんだよ!」
いやいや、それって
「俺達の男心をもてあそぶなんて!」
いやいや、もてあそんでないし!
横でニヤニヤしている前田くんがめっちゃむかついた!
こんな調子で5時のオープンから常連客がひっきりなしにやってくる。
聞かれる事は同じ事!自分ら今まで私を女として見てなかったくせに!
「もう、ショックや!今日は飲んでやる!おかわり、ギムレット頂戴!」
うちの常連客では若い方の高島くんが何故だか失恋モード!
「しかしながら、隠れヨッシーファンがこんなにいたとわな」
杉田さんがポツリとつぶやいた。
「杉さん、ヨッシーは人気あるねんで。背も高いし、顔もええし美人やで!」
高島、なかなかいい事言うじゃない。
「マスター、ヨッシーやめちゃうんですか?」
おいおい
「高島くん、飛躍しすぎや!高々一目惚れやないか。付き合ったとか言うんやったら話はわかるけど、チャーリーはどこの誰かもわかれへんねんぞ」
マスターの言う通り!ただの一目惚れ、みな騒ぎすぎ!落ち着いてよ。
「いらっしゃませ」
扉が開いて入ってきたのは・・・げげぇ〜!うちのディープな姉御達!かおりさんと由真さん
2人ともがっつり負け組み35歳独身!犬あり
「ちょっと!はやみ、しっかり話し聞くわよ!」
時間は午後9時、今日は長くなりそう〜?