秋晴れはいつまで
本当の事
コンペまで二週間を切ってしまった。練習はしているけど、不安はいっぱい。
チャーリーのゲイ疑惑も晴れて、私はコンペ後に告白するだけ。
向こうから告白されたらどうしよう。
午後9時に村田さんが西さんとやって来た。
「食事後だから、俺はアレキサンダー、村田君はどうする」
「ブランデーストレートでもらいます。」
秋になって、少し濃い甘めのカクテルが出るようになりました。
ブランデーにカカオに生クリーム、少し強めにシェークして混ぜ合わせます。
「うまいね、練習の成果かな?」
西さんは村田さんとお仕事の話みたいで、真剣ムード。
マスターがお客様に頂いた、チーズをお出しするように言われたので、私は準備して、西さん達にお出しした。
「もらい物ですけど、フランスから買ってきたカマンベールです。よかったら」
「むこうの奴は美味いですよね。頂きます。」
村田さんが美味しそうに食べてくれた。
「健太がうらやましいなぁ、これから毎日こんな美味いチーズが食べられるんだから」
「何、チャーリーはフランス行くんか?」
そうです、チャーリーは家具の買い付けに一ヶ月行くんです。
「ええ、今月の半ばから一年間行くんですよ」
一年?
西さんに話す、村田さんの話しは私を唖然とさせた。
家具の買い付けと、美術の勉強の為に、約1年いくとの事だった。
私はそこまで聞いていない。何だか淋しい気持ちがこみ上げてきた。
「吉沢さん聞いてなかったの?」
「フランス行くのは、聞いてましたけど、一ヶ月くらいだと思ってました。」
明らかに落ち込んだ私を見て、村田さんも西さんも必死でフォローしてくれた。
「あいつ、以外と天然だから、言ってつもりになってるんじゃないかな?」
「そうそう、コンペ前だし、気をつかったんかもしれんは」
二人ともありがとうございます。
「あとで、メールしてみます。」
どうして、チャーリーは言ってくれなかったんだろう?
私は、そんな事言わなくてもいい関係の人間なのかな?
一年は短いようで、長い時間だなぁ。