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シンセーロ

シンセーロ


土曜日の営業は以外と遅くなってしまった。


家に着いたのが、午前5時。さくっと化粧落として即寝しようと思ったのに興奮いているのか、まったく寝れなかった!


いつもはパンツが多くて、スカートなんてあまりもってない。セミナー用のスーツかパティーがあった時にマスターに買ってもらったドレスぐらいしかない。

まさかそんな決めていったら確実に引かれちゃう。

悩みに悩んで、ちょこっと大人な感じのパンツにしてみた。


待ち合わせ時間の前に行くか遅れて行くのか、色々考えてみたけれど、うちのマスターは時間にうるさくて時間前に行く事がカラダにしみついてるみたいで、気が付けば待ち合わせの夙川駅に着いていた。


8月も終わりだと言うのにまだまだ暑い。駅で待ってると汗が止まらない。


駅構内にあるスーパーに入って少し涼む事にした。


待ち合わせ時間の30分も前についてしまって、どうしよう?


場所柄、お洒落な輸入食材がいっぱいあったので、それを色々見ながら時間を潰した。


ふと外を見るとチャーリーが電車から降りてくるのが見えたので慌てて表に出た。


「おはよう。待ちました?」


「いいえ、今きたところです」


チャーリーはメンパンに薄い黄色のシャツを着ていた。


何てさわやかなのかしら、感動しちゃう。


「とりあえず梅田にでましょうか?」


「そうですね。エスコートお願いします。」


梅田までの間、おすすめの本の話で盛り上がり、楽しく時間は過ぎた。


とりあえず、大きな本屋を何軒かハシゴして、色々のジャンルの本も見て回った。


たまに本に熱中して私の事を完全に忘れられる時もあったりして、チャーリーって本当に


本が好きみたい。


私も今度の予選のカクテルのネーミングの参考になる本を探して回った。


午後2時を回った頃、チャーリーがすまなそうに私のところに来た。


「ごめんなさい、すっかり昼ごはん忘れてました。」


「全然、大丈夫ですよ。」


チャーリーとぶらぶら歩きながら、福島駅の近くホテルで遅い昼ご飯を食べた。


「吉沢さんも本詳しいですね。」


「マスターが小説よく読むので、それ借りるんです。」


「マスターも話し合いそうやね」


「山下さん!ヨッシーでいいですよ。みんなそうですから。」


「じゃぁ、そうします。ヨッシーも山下さんって!チャーリーでいいよ」


笑顔で言ってくれたチャーリーにもうとろけそう〜


本当にやさしく接してくれるチャーリーとの時間は楽しかった。


ご飯の後、福島の商店街にある小さな古本屋に連れっていってもらった。


古い小さなお店に雑然と本が並んでる。チャーリーはお店のおじさんに挨拶して、物色している。


しかし、驚くほど色んな種類の本がある、私は写真集のコーナーで一冊の本を見つけた。


白地にオレンジ色で『シンセーロ』と書いてある。


中を開けてみると、満面の笑みの子供達の写真が並んでいた。色んな国の子供達が本当に心から笑って感じがした。


私はその本に引き込まれていたので、横にチャーリーが着ていた事さえ気づかなかった。


「気に入ったの?」


「えっ!あっ、すごく自然な笑顔で引き込まれちゃいました。」


「シンセーロ、親愛なるって意味かな?ポルトガル語だと思うけど?」


『親愛なるか〜』、何だか引かれる。


「プレゼントしますよ。今日付き合ってもらったお礼に。」


「いいですよ、今日は私がお願いしたんですから。」


チャーリーはその本を持ってレジ向かっていた。


結構強引なんだから!でも、うれしいかも。


『シンセーロ』と言う言葉に惹かれたのか、子供達の笑顔に惹かれたのかはわからないけど、本当に気に入ってしまった。


いいカクテルが出来そうな予感もしていた。チャーリーとの出会いは偶然だけどある意味必然だったのかもしれない。


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